2002年公開の映画です
軽薄で自己中な38歳のおっさん役をヒュー・グラント。言動がちょっと変わってて苛められっ子の少年、マーカスをニコラス・ホルトが演じてます
ヒュー・グラントは言わずと知れたラブコメ四天王、残りの3人は誰かな…まあいいや
ニコラス・ホルトは子役です。この作品の11年後にウォーム・ボディーズでイケメンゾンビを演じています。当時はまさかここまで有名な俳優になるとは思ってませんでした
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簡単なあらすじ
死んだ父親が歌手だったおかげで金に困らない独身貴族のウィル(ヒュー・グラント)
ウィルは手軽に女遊びできる狩場として片親が集まるサークルに目をつけます
独身女性よりもバツイチの方がセックスの相性が良く、別れる時に簡単だと気づいたからです
もちろんウィルは独身なので『妻と別れて子供を育てる良きパパ』と嘘をついて潜入
さっそく美人な金髪シングルマザーのスージーと仲良くなり、サークル主催のピクニックに参加します
ピクニック当日、スージーを家まで迎え行ったウィルは気難しい少年マーカスを紹介されました。マーカスはスージーのサークル仲間であるフィオナの息子。今日はフィオナが急用で参加できなくなったため、スージーがマーカスを預っていたのです
皆で一緒にピクニックへ行くことに
ウィルとマーカスはまったくソリが合いません。しかしウィルはスージーの手前、愛想よく振舞います
ピクニックが終わりマーカスを自宅に送り届けたウィル。ところが彼がそこで見たのはは薬を大量摂取して自殺を図ったフィオナの姿でした
フィオナは情緒不安定なヤベー母親だったのです
救急搬送されてどうにか一命を取り留めたフィオナ
母親を心配するマーカスは自分だけでは手に負えないと考え、ウィルを母親の再婚相手にしようと画策するのですが・・・
原作はイギリスの人気作家ニック・ホーンビィ
以前、別の記事でも書いたかもしれませんが、私が好きな作家です。彼の作品は全て持ってます
この作家さんの映画化作品はハズレが少ない印象ですね。特に私が好きなのはジョン・キューザックやジャック・ブラックが出演していた『ハイ・フィデリティ』という音楽オタクコメディ
原作ファンでもきっと満足できる映画
原作とはラストの展開が違います。原作にはまったくない展開です
でもこのラストが良い
お涙頂戴シーンじゃありません、皮肉の好きなニック・ホーンビィなら描きそうなユーモア溢れるシーンです。本作の製作総指揮に彼の名前が載っていたので、もしかしたら直接携わったのかな
当然ですが100分の映画に収めるので原作からは端折っている描写があります
大きな箇所でいうと原作では無責任で子供じみた大人のウィル、老成して大人のような諦観を持った少年マーカス、対照的な2人が仲を深めることで逆のベクトルに成長し合うというのが物語の軸になっています
しかし映画ではウィルの成長を描くことを主軸にしてます
主役を1人に固定したことで、展開がすっきりしていますね。とはいえスカスカにはなったわけじゃありません。元々情報量の多い小説だったのでそれを上手くアレンジすることで上質なコメディ映画に仕上がっています。原作厨もきっと満足するでしょう
私は原作より先にこの映画を観た口です。こりゃ面白い! とすぐにDVDを買うほど気に入りました
ちなみにコメディといってもゲラゲラ笑うタイプの映画じゃありません。皮肉が利いててセリフ回しが絶妙な映画
ヒュー・グラントがはまり役
軽薄、女たらし。ヒュー・グラントはこういう役をやらせたらはまり過ぎですね。モテるけどちょっと腹黒い感じ
本作では死んだ父親が作曲したクリスマスソングの印税で悠々自適な生活を送る独身貴族を演じています
金に困らないので彼はこれまでに一度も仕事をしたことがありません。これからもするつもりはありません。職業『無職』を貫く男
本人は遊びに忙しくて仕事をしてる時間なんてないと豪語していますが、心の中ではちょっぴりコンプレックスを感じてもいます。女性とのデート中に職業を聞かれた時「無職」と答えると相手がどん引きするから
それに父親の残したクリスマスソングはクリスマスが近づくと必ず街中で流れる定番ソングでした。能天気で間抜けな曲。そんな曲で自分が飯を食ってることに心底うんざりしていました
なぜなら彼は自称クールガイを気取っているから
普段からアウディを乗り回し、ハイセンスな服に身を包み、カッチョいい音楽を聴いてオシャンティな美容室で髪を切る。そんな自分が子供でも歌えるクリスマスソングをあてにして生活してることは極力誰にもバレたくないのです
つまり空っぽ人間なんですよ。責任を負うこと恐れ、誰とも深く付き合おうとせず、島に引きこもった男。引きこもれるのは父親のおかげだけど、それを認めたくもない
そんな矛盾した感情を抱える薄情でどうしようもない男をヒュー・グラントは完璧に演じています
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マーカスと母親のフィオナ
自殺未遂を起したフィオナは元ヒッピーです。菜食主義者でもあります。独特な価値観を持っていて、それに影響されたマーカスもちょっと変わり者
フィオナはマーカスを愛しています。しかし感情の起伏を抑えることができずに急に泣き出したり自殺を試みてしまう
マーカスは学校でのイジメに耐えながら母親の心配までしなくちゃならない
なんかこう書くと深刻な話っぽく思われるかもしれませんけど、全然そんなことはないですよ。皮肉とジョークにまみれたコメディ色全開のドラマです
質の良いコメディ映画の特徴の1つに、チョイ役にも関わらず癖の強いキャラを登場させるというのがあります。この作品もそうです。誰も突っ込まないけど「んん!?」と思うようなキャラが数人います
面白い映画です。ホノボノ系とも違う、観ているといつの間にか魅入ってしまう独特な空気がある
観終わると、いいじゃんこれ!
と誰かに勧めたくなる、そんな映画
まとめ
終盤にレイチェル・ワイズが出てきます。ハムナプトラシリーズのヒロインを務めた俳優です。魅力的なバツイチ女性を演じています
フィオナ役であるトニ・コレットの演技も素晴らしいです
精神的に不安定な女性、ともすれば鬱陶しくなりそうなキャラですが、エキセントリックでありながら賢く良い母親をしっかりと演じきってます
この映画の知名度はどうなんでしょうね。ネットで評価を調べると高いのですが、自分の周りでは知らない人が多いんですよね。キャスティングはしっかりしてるのに不思議なくらい知られてないような
昔はTUTAYAにもそこそこの数があったのでマイナーな映画じゃないと思う
まあいいや、良い映画なのでお時間があればどうぞー