1980年公開の映画です。同名のアメコミを映画化した作品
ジャンルは銀河をまたにかけたSFスペクタクルロマン
それほど面白い映画じゃないのに見終わると
もしかして傑作かな
と錯覚してしまう謎のパワーを秘めた映画です
大金をかけて製作されましたが興行的にはいまいち芳しくありませんでした。とはいえ当時の評価を調べると決して悪いものばかりではないですね
三年前にはスターウォーズという大傑作が公開されていたので、それに比べると見劣りはします
昔の映画をリメイクした作品
実はフラッシュ・ゴードン、すでに1930年代には30分程度の短時間映画のシリーズ物として上映されていました。
人気は高く50年代になってもテレビで繰り返し再放送されるほどでした
少年時代のジョージ・ルーカスにとってもお気に入りの作品だったようで、『アメリカン・グラフティ』で成功を収めた彼はフラッシュ・ゴードンのリメイクを狙っていましたが、権利をイタリア人のプロデューサーに握られていたため諦めることに
代わりにオリジナル脚本で【スター・ウォーズ】という映画史に残る超大作を完成させたのです
スターウォーズの冒頭、宇宙空間を背景にしてあらすじを説明する文字が画面の手前から奥へ流れていく演出がありますよね、あれは昔のフラッシュゴードンの手法を真似たものです。オマージュですね
それだけジョージ・ルーカスはフラッシュ・ゴードンに思い入れがありました
ちなみにスターウォーズが公開されたのは1977年、ご存じこの作品は大ヒットを記録しました。それに対抗意識を燃やした件のイタリア人プロデューサーが大金をかけて製作したのが1980年版フラッシュ・ゴードンです
フラッシュ・ゴードンは日本ではそこそこ知名度はあったと思う
私が初めてこの作品を観たのは小学生の時、日曜洋画劇場という番組でした。淀川長治さんが司会をしてたやつ
自分の中で日曜洋画劇場と言えば【フラッシュ・ゴードン】【コナン・ザ・グレート】【ゼイリブ】
というくらい印象に残っている映画のひとつです。それだけこの三作品は頻繁に放送されていたと記憶しています
しかし今考えるとかなりマニアックなラインナップですね。どれもカルト的な人気を誇ってはいましたが、そんなに視聴率が取れるような作品じゃないような・・・
初めてフラッシュ・ゴードンを観た時のことは今でもはっきり覚えています。衝撃でした
こんな超絶ダサい映画が世の中にはあるのかとショックを受けたものです
これに関しては『見どころ』で詳しく書きます
映画よりもテーマ曲の方が有名かもしれません
クイーンが歌う『フラッシュ・ゴードンのテーマ』はそこそこヒットしたので若い人でも知ってるかも
かなりイカした歌ですよ。ヤベーですよ。一回聞いたら二度と忘れることができなくなります
私、気づいたらサントラを買ってましたからね
映画は見ていなくても、2012年に大ヒットしたお下劣コメディ映画『テッド』で取り上げられていたので知ってる人もいるのでは
テッドでは主人公が大好きな作品であるフラッシュ・ゴードンを熱く語ります
彼は映画のシーンを頻繁に思い浮かべ、夢想するので、印象に残った人もいるでしょう
フラッシュ役のサム・J・ジョーンズも当時と変わらぬ元気な姿で登場していますよ。面白い映画なので興味があったらどうぞ
簡単な内容説明
悪の支配者ミン皇帝が不思議パワーで地球に天変地異を引き起こします。彼は惑星モンゴを支配するとんでもないワルでした
空は赤く染まり数々の異常気象に見舞われる地球。人々はパニックになりますが誰もその原因がわかりません。アメリカのNASAは天体に異常は見られないと発表しますが・・・
そんな中、アメフトのスター選手であるフラッシュ・ゴードンが乗っていた飛行機は悪天候に巻き込まれて墜落しそうになってしまう。飛行機にはデイルという女性も乗っていました。彼女がヒロインです
どうにか不時着した飛行機は科学者のハンス・ザーコフのお家に突っ込んでしまいます
ザーコフは地球で起きている異常気象を宇宙からの攻撃であると突き止め、自分でロケットを作って異常気象の解決に乗り出そうとしていました
ところがザーコフの助手はロケットに乗るのを嫌がって逃げてしまう
人手がなくて困ったザーコフはデイルを騙して連れて行こうとしましたがフラッシュに邪魔され、大喧嘩してるうちにロケットが作動
みんな揃って宇宙へ飛び立ってしまう
三人はあっという間にミン皇帝に捕らえられてお仕置きされます。デイルは美人だったのでミン皇帝が惚れてしまい、フラッシュは生意気なので処刑することに
その後、なんやかんやあってフラッシュが頑張って地球を救います
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見どころ
▼頭ツルツルの人がミン皇帝
▼主人公のフラッシュ
▼敵の宇宙人
みんな泣けるほどダサい
一応断っておきますがこの映画はコメディじゃありません
自分の名前がプリントされたTシャツを着てる主人公がいますけど、ギャグじゃありませんからね、大真面目です。この人最初からこのファッションです
役者たちの鮮やかで浮世離れしたコスチューム、大げさな演技
恐らくアメコミテイストを意識し過ぎたんだと思います
これでテーマ曲はクイーンですよ。フレディ・マーキュリーたちのデュエット、高音のコーラス、彼らの熱くてゴージャスな歌声が響くわけです
一周回ってカッコ良い……わけはなく。やっぱりカッチョ悪い
レンタルビデオ店でこの作品のキャッチコピーを見た時は腰を抜かしたものです
スターウォーズを超えた!
ですからね
金髪WASPがアメフト仕込みのパワーで敵をばったばったとやっつける
ホークマン(鷹人間)や森の貴族を味方につけて、悪の皇帝に最終決戦に臨む
そんな映画
どう説明してもB級映画にしか見えません
ストーリーに特質すべき点はないし、特撮も当時としては凄いのかもしれないけど今見るとぱっとしません。普通に感想を述べるなら、「つまらない」と言いたくなる
この映画の凄い所は今観ても糞ダサだけど、当時観てた子供な私でも悶絶するほどダサいと感じる映像美
それにこんだけ陳腐な話なのに「はあ、面白くなかった」
と言わせない摩訶不思議な勢いがあります
この映画を『面白くない』と言ってしまうと、なんだか負けた気分になるので言えない
自分でも何を言ってるのかわかりません
でもそんな映画
一般的に良い映画と言われるものは印象に残るシーンがあることでそう言われることが多い
フラッシュ・ゴードンは全然良い映画じゃないのに、印象に残り過ぎるんですよ
飛行機が不時着するシーンに使われる玩具っぽい飛行機模型
フラッシュが悪者と戦う時にヒロインが手を叩いてフラッシュを鼓舞するのですが
その動きがなんか変
でも子供心に「ツッこんじゃいけないんだ」と謎の強制力が働いて流すことしかできない
私はブログを書く時に強調したい時は太文字をつかったり大文字を使います
この映画は全編が太文字で大文字なんですよ。それもカラフルな色つきの
観ていると頭の中に虹のアーチが。気づくとレインボー🌈な気分に
最初に書きましたが、フラッシュ・ゴードンはスターウォーズを超えるという意気込みを持って製作されました。当然大金が使われています
なんていうんでしょうね。優等生が大真面目に映像を作っていると思ったら、プレッシャーに負けていけない薬物に手を染めながら作った映画?
まとめ
散々ひどい事を書きましたけど、一応誉めてるつもりです
何故なのか理由はわかりませんが、
自分にとって大切な作品のひとつになってます
物語の終盤、フラッシュが小型バイクのような宇宙船で登場するシーンがあります
画面の奥から視聴者に向かって近づいて来るアングル
その時クイーンの『フラッシュのテーマ』がイントロからDA・DA・DAと始まるのですが
超絶ダサくて涙が出ます
怪しげな赤いタンクトップを着たフラッシュの真剣な表情
フレディ・マーキュリーたちの力強く熱い血潮弾ける美声
ずっと観ていると、聴いていると、
神経がおかしくなって、なんだか格好良く感じてしまうのです
あれ、フラッシュってなんかカッコ良くね
って、曲に痺れて鳥肌が立ちます
皆さんにも是非味わって欲しい感覚です
おしまい
あ、ちなみに『フレッシュ・ゴードン』という紛らわしいタイトルの映画もありますよ。こっちはお下劣パロディなので間違えないようにね