恋愛映画はあまり見ないのですがこの映画は好きです
ゾンビが出るけどホラーじゃない。会話が洒落てて、クスリと笑わせてくれる
恋愛映画が苦手な男性は多い
理由は色々ある……と言いたい所ですが、だいたい下記のどれかが当てはまるんじゃないでしょうか
- セリフや演技が臭すぎる
- 他人の恋愛に興味がない
- 結末がわかってる(どうせ最後はくっつくんだろ)
- せっかく高い金を払うなら演出が地味な恋愛物は見たくない。マーベル最高!
ググってみたら6割近くの男性が恋愛映画を好まない傾向にあるらしい
「嫌い」が6割…オトコが恋愛モノを見たくない意外な理由とは? - Menjoy! メンジョイ
つまり恋愛映画の客層は女性が多い
制作サイドもそれがわかっているのでキャスティングや演出を女性の好みに合わせています
だから不細工な男を主役にしたラブストーリーは少ない。その方が男受けはするでしょうが、制作側からすれば少ないパイをわざわざ狙う理由はない
女性と男性では恋愛観にズレがありますからね。両方の需要を取り込んだラブストーリーは作るのが難しいのかもしれません
そういえば昔『電車男』という映画がありましたね。山田孝之演じるモテないオタクが美女に恋する映画です。ヒロインは中谷美紀。あれなんかはまさに両方を狙った映画でしょう
山田孝之で女性層を取り込み、モテないオタクという設定で男子を取り込む。制作サイドのあざといキャスティングが功を奏して映画はヒット
原作本もバカ売れしました。っていうかあの話は2chのスレが元になってるので実話になるのかな。不思議な魅力のある本で私も持ってます。内容は小説形式ではなく匿名掲示板のやり取りとそのまま載せた形
こんな感じ
ちなみに私は海外の恋愛映画は見ます。でも日本の恋愛物はあまり見ませんね
これは単純に自分が日本人だからだと思います。
つまり文化の違う海外映画であればたとえ恋愛物であっても日常性が薄れるので一種のエンターテイメントとして楽しめる。
ところが母国の恋愛物になるとそうはいかない。事情を知ってる分だけどうしても現実的に見てしまう
映画である以上ドラマチックに演出するのは仕方がないとわかっているのに、俳優の演技が鼻についちゃう
ズボラでモテないヒロインという設定なのに、綺麗な女優がメイクばっちりの顔で寝起きを演じてもシラけてしまうんですよね
前置きが長くなりました
今回紹介するのは【ウォーム・ボディーズ】
この映画の主役はイケメンです。腹が立つくらいの。でもゾンビなの
野郎だったらゾンビ映画は好きだよな!? 女子はイケメン好きだろ!? だったらとりあえず見とけよ! とにかく面白いYO!
って感じの映画。
こう書くと雑な映画っぽく思われるかもしれませんがそんなことありません。っていうか設定が実に上手い、演出も神ってます。詳しくは見どころで書きます
原作小説は『ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語』。著者はアイザック・マリオン
この小説は『ロミオとジュリエット』を下敷きにして書いた、という著者のコメントを聞けばだいたいの内容は想像がつくのではないでしょうか
つまりそんな感じの話です。ゾンビと人間の種族?を超えた恋の話
あらすじ
伝染病の蔓延によって人類のほとんどがゾンビ化した近未来。都市には人を襲うゾンビやガイコツが徘徊し、生き残った人々は高い壁を築いてその内側で暮らしていた
ある日、腹を空かせた青年ゾンビRは仲間と一緒に町へ。彼はそこで出会ったジュリーに一目ぼれしてしまう。Rはその場にいたジュリーの彼氏であるペリーの脳を食べたことで、二人の思い出を追体験します
ペリーの記憶を介してジュリーの魅力を知ったR。彼はますますジュリーを好きになってしまう
Rは仲間に襲われそうになっていたジュリーを助け、住み家にしている旅客機の中へと連れて帰ります
「早く帰せ」と迫るジュリーにRは2、3日すれば帰すと約束
それから始まった共同生活。最初はRを恐れていたジュリーですが、優しくユーモアのあるRにたいして次第に心を開いていきます。しかしいつまでもここで暮らすわけにはいかない、彼女は町へ戻る決心をするのですが……
2人の出会いがゾンビと人間の世界を変える
自分で書いてて思いましたが滅茶苦茶ベタな内容ですね でも
これでいいんです
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見どころ
この作品はRの独白で物語が始まります。彼は自分の名前をRとしか覚えてません。住み家にしているのは空港に放置された旅客機の中。趣味は音楽鑑賞。
空港には彼以外にもゾンビが沢山住んでいて、生前の記憶をトレースするように同じ動きを繰り返してる
床を掃除をしてるゾンビもいれば、制服を着てセキュリティチェックをしてるゾンビも
この事からもわかる通り今作のゾンビには僅かに知能が残ってます。しかし知能は時間と共に退化し、最終的には飢えに支配されるだけの化け物、"ガイコツ"になってしまう。こうなってしまったら誰にも手をつけられない、たとえゾンビであっても。
ゾンビ側の視点で描かれるゾンビ映画っていうのが新鮮。こういう映画は今までなかった気がします。
また『ゾンビに知能が少し残ってる』『脳を食べるとその人間の記憶を体験できる』という設定が物語を綺麗に進める役割を担っていて、めっちゃお洒落です
Rがジュリーに恋をするきっかけとなる彼氏の脳を食べて記憶を思い出すシーンなんて、残酷なシーンのはずなのに妙に爽やか
ゾンビはロクに喋ることができないのですが、それはRも同じ。映画では彼の心情を表す演出としてポップミュージックが使われます
それがまたセンスいい
ジミー・クリフの”シッティング・イン・リンボ"やジョン・ウェイトの”ミッシング・ユー” 他にもガンズ・アンド・ローゼスやブルース・スプリングスティーンなど多彩です
曲調や歌詞がRの気持ちを絶妙に代弁してる
明るめの曲が多いのも良いですね、そのおかげでゾンビ映画なのに陰惨さが軽減されてます。重度のゾンビ映画好きにとっては微妙かもしれませんが
グロいシーンが少ないのでゾンビ映画の苦手な人にもおすすめできます
あらすじだけを読めばありきたり。でもこの作品は設定と演出が物語を面白く転がしているので、ありきたりでも問題なしです
これが普通の恋愛物だったら
「けっ、どうせ最後は上手く付き合うんだろ」
となりますが、ゾンビと人間だったらどうなるのか先が気になるでしょ?
設定の勝利だと思います
まとめ
ゾンビが登場するので緊張感はありますが、見終わった後は爽やかな余韻が残りました。ジャンルは何になるんでしょうね、ゾンビ青春物? 小ネタがちょくちょく挟まれてコメディ要素もあります
作り手の往年のゾンビ映画に対するリスペクトも感じますね。ゾンビと人間の恋なんて新感覚な映画でありながら、ゾンビがゆっくりしか歩けないとかその辺の設定はクラッシック
男性が見ても良い映画だなと思えるような作品です。記憶に残りやすい作品とも言える
この映画は2013年に公開されてます。当時はブラッド・ピットが主演とプロデューサーを務めた『ワールド・ウォーZ』というゾンビ映画の大作も公開されていました
大金をかけた『ワールド・ウォーZ』ですが、映画好きの間ではウォーム・ボディーズの方が評価が高かったのを覚えてます
そんな良作です。見てね!
ちなみにしれっとジョン・マルコヴィッチが出演してますよ
おわり
他にも映画紹介をしてますのでよかったら読んでください