驚いた
今朝の朝刊を読んでいたら隅に小さく載ってた
あんなに有名な漫画家なのに……なんでこんなに扱いが小さいんだよ
ちょっと腹が立った
孔雀王を知らないおっさんはいないと思う。エロかったし触手とかあったし
記事によると4月29日に腎不全で死去、享年59歳
孔雀王は40代の男性なら知らない人はいないでしょう、若い人でもタイトルくらいは聞いたことあるのでは。それくらい有名なオカルトバトル漫画です
裏高野の退魔師でありスケベ坊主な孔雀が鬼や怪物と戦う物語。というのが前半のストーリー
初期は依頼を受けた孔雀がイジメや恨み、人間の欲望が肥大して魔物化した人間を退治するという典型的な退魔話。一話~数話で完結するストーリーでした
卑猥で陰惨な話が多く、男性ファンを一気に取り込みました
そこから物語はこの世に六道魔界を現出せんとする六道衆との闘い、孔雀の出自を巡る話へと繋がり、姉である朋子との邂逅、さらに様々な神話の神や悪魔、怪物がごっちゃ混ぜになって登場し、壮大な広がりをみせます
果たして孔雀を世界を救うことができるのか
簡単にいうと何でもありありのエロくてロマンなバイオレンス漫画
この漫画によって密教がやたらと恰好良く感じるようになりました。聖杯やら聖槍、呪術、インドの神々、裏高野という架空の存在もオタク心をくすぐります
同名のタイトルで映画もヒットしました
三上博史とユン・ピョウ、他にも安田成美や緒形拳など有名俳優が多数出演しています
当時はまだ連載が終わってないので、映画の内容は漫画とは違いますよ
引用 amazon
『臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前(りん・ぴょう・とう・しゃ・かい・じん・れつ・ざい・ぜん)』
印を結んで真言を口にする三上博は恰好良かった。現在では妖怪の登場する漫画やアニメで定番のフレーズですね
孔雀王で私はこの九字切り?を覚えました。ちなみに映画版のラスボスの姿には誰もがズッコケたことでしょう
1990年には2作目,、『孔雀王アシュラ伝説』が公開されました。主演は三上博史から阿部寛に変わって、ユン・ピョウはそのまま
この作品も観たと思うんですけど内容は覚えてないなあ
ヤングジャンプで連載が始まったのは1985年、ヤンジャン初の青年漫画大賞に輝く
シリーズ化されて今でも続いています。続きはどうなるのでしょう。萩野先生は亡くなる前にラストまで描き上げてるという噂もありますが……
- 孔雀王 全17巻(17巻は短編エピソードのみ)
- 孔雀王 退魔聖伝 全11巻
- 孔雀王 曲神紀 全12巻
- 孔雀王 戦国転生 3巻~
- 孔雀王 ライジング 6巻~
私が夢中になって読んでいたのは第1作目、今風にいうなら孔雀王無印です。迫力のある絵、怒涛の展開、物語にはまったというのもありますが、何よりエロかった
劇画タッチで描かれるエログロバイオレンス。女子高で大暴れする触手マンもいます。下手なエロ漫画より過激でした
特に印象に残っているのは孔雀の父、慈覚と冥道(孔雀の母であり魔族)の交わるシーンでしょうか
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主人公の孔雀以外にも魅力的なキャラが沢山登場します
ヒロインであり阿修羅王を守護にもつ阿修羅。孔雀の友であり呪禁道士で世紀末マッチョメンみたいな男、式鬼使いの王仁丸。敵の六道衆もイカれた個性の持ち主ばかり
世界観の広がりを考えると、よくもまあ16巻で収めたなと感心しますよ。今更ながら
この無印の孔雀王に関しては熱量を保ったまま綺麗に終わっています
仏教バトル漫画の名作として読んでない人にはお勧めしますよ
しかし…
続編である退魔聖伝からは正直あまり魅力を感じなくなりました
- 絵柄が変わった(なんだか全体のラインが尖りすぎてる。特に髪の毛)
- 雰囲気がやらたと陰惨になった。エロいと言えばエロいけど、それだけが目立つようになった気がする
なにより作者が描きたくて描いてるのか疑問に感じるほど展開がもったりしてました。読んでいてもあまり楽しくありませんでしたね
全11巻です。すっごい中途半端な形で終わります
次に始まったのが神道系の伝奇漫画『夜叉鴉』です
噂では萩野さんが「仏教では神道に勝てるビジョンが見えなくなったので、神道の勉強をする」
ということで始まった漫画とか。もちろん孔雀王とは別作品です
内容はエログロセックス神道生者とは信仰とは?よくわからんけど観念世界に突入
という凄すぎる伝説作品です
私は夜叉鴉を最後に萩野作品を読むのを止めてしまいました(不満があったとかではなく単に仕事が忙しくて漫画自体を読まなくなった)
その後、孔雀王は『曲神紀』で再び再開されるのですが、それを知ったのはずっと後のことでした
荻野さんは人気作だった孔雀王の呪縛から逃れるのに大変苦労されていたそうです。違う作品を描きたくてもファンや出版社から求められるのは孔雀王。その苦悩を単行本の巻末で吐露されていました
そのため、夜叉鴉もそうですが『ALGO!』『小人類』『拳銃神』等、意欲的に多ジャンルの作品を発表しています
私はALGO!と小人類は読みましたね。最初は面白いけどだんだん訳がわからなくなります
ちょっと話は逸れます
余談ですが孔雀王無印に遅れること1987年には少年ジャンプで『ゴッドサイダー』という漫画が連載されてます。こちらも劇画タッチで神話とエロを詰め込んだ内容
『明王伝レイ』なんて漫画もありましたね
当時は孔雀王のヒットによりオカルトや伝奇SFというジャンルが流行っていた時代でした
引用 amazon
ゴッドサイダーは今の少年ジャンプでは間違いなく連載できないと思います。これもかなりエログロで過激な内容でしたから
お腹の中で蠅が羽化するシーンがやたらリアルでちょっとトラウマです
終盤が駆け足で終わったのが少し残念
と思っていたのですが調べたらゴッドサイダーセカンドというタイトルで続編?も出てました。前作とは別次元の話です。でも何人かキャラが被ってます
トラブルも……
エログロの伝奇小説と言えば夢枕獏が有名ですよね
夢枕獏は孔雀王よりも先にサイコダイバーというシリーズ物を発表してます
荻野さんは孔雀王のヒット時、夢枕獏からサイコダイバーのパクリじゃないかと指摘されています
この騒動は荻野さんが謝罪することで収まりますが、少し後味の悪い出来事でした
まとめ
とはいえ孔雀王が宗教を取り入れたオカルト漫画として一時代を築いたのは事実です
映画を見て友達と熱く語っていたのは良い思い出。ラスボスについてはお互い触れませんでしたが
オン・マユキラテイ・ソワカ!
荻野真先生、ご冥福をお祈りいたします