前回の記事↓の続きです
身の回りで起きた驚いた出来事ベスト3を紹介:前編 - ダメラボ
私が遭遇した驚きの出来事を紹介します。今回は2つ目から
2:自動車事故と血のTSUTAYA
携帯電話の液晶画面がまだカラーじゃなかった頃の話
平日の深夜0時過ぎのことです。バイト終わりの私はカブに乗って交差点で信号待ちをしていました
深夜とはいえ交通量の多い交差点です。車がビュンビュン行き交ってる
ぼんやりと目の前を走り抜ける車を眺めてました
すると不意に左から大きな音が聞こえてきます。異様に加速した車のエンジン音です
シルビアだったと思う。弾丸のようなスピードで交差点に突っ込むと一切緩めることなく歩道を乗り上げ、大クラッシュ
それは凄まじい事故でした
シルビアは歩道の縁石に乗り上げたことで垂直に高く跳ね上がり正面のビルにぶつかったのでした。まるでビルの壁面を駆け上がるかのように。それから力尽きて落下。車の後部が潰れるほどの勢いで地面に叩きつけられます
私の目の前で甲高い音を立てて大破
もうね、間違いなく中の人は死んだなと思いましたよ。そう断言できるほどのひどい事故
「……」
私はポカンとして信号が青になっても動けない
何が凄いって周囲の車が何事もなかったかのように行き交ってることです。止まって様子を見る素振りがまったくない
私の後ろで信号待ちをしてた車なんてさっさと進まない私にクラクションを鳴らして追い抜いていく無関心ぶり
いやいや、ひどくね
まあ、そういう自分も躊躇してますけど
だって通報するということは事故車に近づいて中を確認しなきゃいけないでしょう
嫌ですよ。どう考えても死んでるもん。それもきっとひどい姿で
事故現場に歩行者がいなかったのは幸いです。巻き込まれたら怪我じゃ済まなかったと思う
事故車の中は……
正直自分も知らん顔しようかと思いましたけど、そうもいかないのでカブを停めて恐る恐る事故車へ近づきました。オイル?の嫌な臭いが漂ってます
車はボンネットと後部が潰れて滅茶苦茶です。しかしシート部は意外と綺麗に空間を保持してました。窓は最初から開いてた様子
乗っていたのは若い男女です。シートベルトをしてたおかげでしょう身体は座席に収まっていました
運転席の男は茶髪でやんちゃなファッション。顔は血まみれ。助手席の若い娘は花柄の青いワンピース姿です。こちらも血だらけ
声をかけても2人はピクリとも動きません
ああ、エライもの見ちゃったよ。生まれて初めて見る人間の死体。覚悟してたけど実際に目にすると平静ではいられませんね
私は震える手で携帯電話を取り出しました
「うわあ、ひどいな……」
「可哀想に……こりゃ死んでるだろ」
近所の住人ががやがやと集まってきました。皆さん携帯電話を片手に持っています。心配半分野次馬半分な雰囲気です
私は通報が重なると消防本部が混乱するかもしれないと思ったので皆に『自分が通報しますよ』とジェスチャーしてボタンを押しました
その時
いきなりドアが開きましたよ。ギギギって
事故車のドアが
「あれ、なんか開きにくいな。どうしてだろ? よいしょ、よいしょ――」
その場にまったく似つかわしくない能天気な可愛らしい声
脱色した髪の長い娘が「よいしょ、よいしょ」とドアを一生懸命開いて出てきました。小脇にTSUTAYAの青いレンタル袋を抱えて
俺、携帯を取り落としましたよ。びっくりし過ぎて。だってその子、顔面血塗れですよ。ワンピースも胸元がべったり血染め。サンダルは片足しか履いてない。それなのに自分の惨状にまったく気づいてない風で携帯電話を取り出して電話をかけ始めたんですから
え、なにこの子、もしかして自分で救急車を呼ぶつもり?
「え……え……?」
周囲にいたおじさんおばさんは腰を抜かして声が出ない。みんな「え」しか言えなくなってる
普通なら心配して娘に駆け寄るところですが、あまりに溌剌とした動きで煙草まで吸い始めたから皆どうしていいのかわからない
しかもその娘の会話内容が、
「あっ! お母さん。あのさ、お願いがあるんだけどさ、ツタヤの〇〇店でね、ミスチルのエブリバディゴー(恐らくeverybody goes)を借りといてくれない? え? なに? だからあ!ミスチルだってば! カバーに秩序のない現代にバックドロップ(ドロップキックの間違い)って書いてるからすぐわかるって――」
彼女は救急車を呼ぶわけでもなく、お母様にCDレンタルのお使いを頼んでました。顔は表情がわからないほど血だらけなのに……
声がハキハキし過ぎて見た目とのギャップが凄いことになってます
私は怖すぎて脚がもつれるほどブルブル震えてました。どう考えても普通じゃないぞ、この女
そうこうしてる間に運転席の男が「うー」などと唸り始めてなぜか復活を遂げてました。こやつも生きてた
男は窓から顔をつき出すと大声で叫ぶ
「ナオ! 違えよ! シーソーゲームだろうが! そんなことより延滞になっちまう。早くツタヤに返しに行くぞ!」
頭沸いてんのかコイツら
色々おかし過ぎて突っ込みきれない
呼ばれたナオちゃんは相変わらず母ちゃんにエブリバディゴーを借りてくれと言ってます。なぜか同じセリフを繰り返してる
男は運転席で煙草に火をつけましたよ。嘘でしょ!? この男も自分の惨状に気づいてない様子。そんな事ありえるの?
現場は騒然となりました。野次馬は男に煙草を消せと怒鳴ってる。当然です、ガソリンが漏れてる可能性が高い
「おい兄ちゃんアイツを止めてくれ!」
しまいにはおっさんたちは私に止めろと言い出しました
「嫌ですよ、うかつに近づいてもし爆発したら……」
「っそ、そんなことより早く消防車呼ばなきゃ」
「そ、そうだ。おい! 早く呼べ!」
私も含めてみんな一斉に携帯をポチポチ押す。そしてみんなでかけ間違える。不思議なんですけど、なぜか時報にかけちゃいました。なんでしょうねあの空気、みんな気が動転して悪い意味で一体感というか錯誤を起すというか
あれ、そういえば今でも時報ってあるのかな
「おい、消防本部って何番だっけ?」
「117ですよ」
「そうだよな……なんで時報に繋がるんだ?」
全員パニックになってるから117と119がごちゃ混ぜになってます
ようやく解決
それからどうにか消防と警察に連絡がつきました
その後のことはあまりに混乱が酷くて時系列がバラバラです
近所の住民たちは車が爆発すれば自分たちの家屋やビルも無傷では済まないので激おこプンプンですよ。男に「タバコをやめんか!バカ野郎」と大声で叫んでる。近づけないから石を投げてる人もいました
男はどこ吹く風で煙草をプカプカ
女の子は車の傍で相変わらず母ちゃんとミスチル話。明るい声と脇に抱えたツタヤの青い袋を今でも鮮明に覚えてます。座り込んでるのでパンツが見えてる。暗くてわかりにくいけどピンクかな
罵声と女の子の可愛らしい声が深夜の空に響くのでした
騒ぎを聞きつけて大勢の野次馬が集まってきます
こういう状態をカオスっていうんでしょうね
警察が到着すると慌ててみんなを下がらせました。消防車と救急車も到着
映画みたいに爆発処理の宇宙服を着た人が登場するのかと思ったら、あっさり事件は解決したらしい
らしいというのは自分の位置からは様子が見えなかったから。警官や消防の人だかりで全然見えませんでした。話によると男は煙草を捨てて素直に車から出てきたらしい
薬物中毒じゃないかと野次馬が噂してたけど真相はわかりませんでした
ちょっと不満だったのは私が第一発見者なのに警官は他の人にばかり事情を聞いてたことです。野次馬のおっちゃんたちが「彼が最初に事故を見たんだ」と言ってくれたのに警官は私とはちょっと話して終わり
なんだよ、せっかくだから沢山喋りたかったのに……
まあ特に知ってることもないけど
私はふて腐れながらその場を後にしたのでした
そうそう、昔の携帯電話は警察に電話するといつまでも液晶画面に110の文字が残ったままになる仕様でしたね。今はどうなんだろう、試したことがないからわからないです
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3:南アジア人の恋?
婚活パーティの心構え。収入とか肩書きとか気にする必要なし。ネットや雑誌の情報を鵜呑みにしないことが大事だよって話:初心者の婚活攻略法 - ダメラボ
以前ちょっとだけ↑この記事に登場した男の話です。国籍はぼかします。ちょっとこの話はレアケース過ぎて私の身元が割れてしまう可能性があるので
上記の記事に書きましたが、知り合いの南アジア人(21歳)が結婚することになりました
あまり面識のない男です。プライベートで知人を介して2回会っただけ
そんなアジアな男を仮にガネ君とします
ガネ君は先日急に電話をかけてきて
「ヤマグチさん、俺今度結婚するから保証人になってよ」
などとたわけたことを言いました
詳細は省きますが彼はとある事情があってビザが切れる寸前でした
そういう裏事情を知っていた私は100%偽装結婚だと思っていたのです。日本人と結婚すれば配偶者ビザが下りますからね
「保証人は断る。絶対に偽装だろ」
「ノー俺たち純愛、エッチもしたし」
というやりとりが数日前に行われていたのでした
そして先日、ガネ君から再び電話が
「お茶でも飲もうよ。奥さんを紹介するからさ」
彼のこういう性格は好きですね。あっけらかんとしてる。普通だったら保証人を断ったしわだかまりを感じそうだけど、そういう所が全然ない
ガネ君の話によると保証人を無事ゲットして結婚できたらしい。誰が保証人になったのか想像はつきますがそこには触れません。トラブルは御免です
お茶を飲む程度だったら全く問題ないので、私は付き合うことにしました
2人は恋人
夜、待ち合わせ場所の大手カフェチェーン店に到着
店に入るとガネ君の姿が見えました。彼はバーニー・マックそっくりの見た目なので一発ですよ
当然彼の座る席には奥さんもいました
……ん?
……あれ……え?
どうしよう……こ、これは……反応に困るぞ
こういう言い方は失礼かもしれませんが、私はガネ君と結婚した日本人女性という時点である程度パンチの効いたキャラだろうと覚悟はしてました
しかし、これは予想を大きく外れてます。自慢ですが私は悪い予想の的中率ならば高い。しかしこれは……
気づかないフリして引き返したくなりました。だけどもう遅い
ガネ君が私に気づいて手を振る
「おつかれヤマグチさん! 悪いね来てもらって。この人が妻のヒトミだよ」
「こんばんは、〇〇ヒトミと申します。ガネがいつもお世話になってるそうで」
「いえ、こちらこそ。ヤマグチと申します。そ、その、このたびは結婚おめでとうございます」
私は頭を深く下げて相手の顔をできるだけ見ないようにしました
もうね、顔を見るのがつらい……
正直いうとガネの野郎をぶっ飛ばしたかったです。リアクションに困り過ぎるから
「ヒトミはちょっと年上だけど優しくて良い人なんだ」
ガネ君は抜け抜けとそんなことをほざいてました。他にも外国人らしい歯の浮くようなセリフのオンパレード
ヒトミさんは照れ臭そうにしながらも彼と指を絡ませてる
私はなぜか「写真を写していいよ」とガネ君に言われてスマホで2人を撮影するハメに
それからしばらく我々は当たり障りのない会話を続けました
彼女は自称40歳らしい。でもガネ君はこっそり私に「たぶん50歳だろう」と囁きました。私は絶対に70歳を越えてると思いました
どうしてガネ君が彼女の正確な歳を知らないのか? 一応理由があるのですがそこは曖昧にさせてください。彼はちょっとうっかり者なのです。ちなみに私の予想が当たってます
しばらくしてヒトミさんは先に帰りました。仕事があるとか言ってたけど何をしてるんだろう。シルバー人材かな
ヒトミさんの姿が消えると、私はさっそくガネ君に詰問しました
「お前ひどい奴だな。何が純愛だよ、300パーセント偽装じゃねえか。老婆の心を弄ぶとはとんだ悪魔だよ。ヒンズー様に怒られるぞ」
「ヤマグチさん……それは違うよ」
ガネ君はやれやれとばかりに薄く笑うと肩を上下させます「Oh、これだからモテない男はなんにもわかってないね~」って感じですよ。イラの10乗ですわこっちは
ガネ君の問わず語りによると本当に愛してるらしい。付き合いは2年に及ぶとか。肉体関係もちゃんとある。なんかこの男は肉体関係にこだわりがあるようです。前も電話でそんなことを言ってたような
「たしかにヒトミは50歳さ。ママより年上だけど愛に年齢は関係ないよ」
「そ、そうか、なぜ50歳だと決めつけてるのかよくわからんけど、あの人は間違いなくオーバーセブンティだと思うけどな。目悪いの?」
「愛に年齢は……」
ガネ君は人の話をちっとも聞いてません。自分のセリフに酔ってる感じです。こういうナルシストキャラは日本人だけじゃないらしい
「両親は太っ腹だな。こんなふざけた結婚を許してくれるなんて」
「ノー、パパとママは悲しませたくないから言うつもりはないよ」
どういう意味だよ
今のが思い切り本音だろ
まあ他人の恋路にあれこれ言うのは野暮ですね
私はガネ君に頑張れよと一声かけて別れたのでした
後日、友人と酒を飲んでる時にスマホで撮影した2人の画像を見せました
すごいですね。人って笑いすぎてゲロを吐くことがあるんだ
おしまい