ダメラボ

ダメなおっさんが色々と妄想していますよ

タイで川を流れる

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長雨の続く今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか

先週から私の住む九州は猛烈な雨に見舞われています。熊本県人吉市では球磨川の氾濫によりすでに50名以上の方が亡くなっています。行方不明者も多数。九州全体での死者は60人を超えている模様

 

人吉は古くからある風光明媚な観光地。派手さはないけど九州人ならば知らない人はいないでしょう。地理的には鹿児島県や宮崎県と近い。私も仕事や遊びで何度か訪れたことがあります。

知人がいるので連絡をとりました。幸いにも大きな被害はなかったとのこと

 

これほど強烈な雨が4~5日も続いた経験は今までにありません。マジで驚くほどの雨量でした。というか絶賛今も降ってます

仕事で福岡を走っていた友人はトラックが水没して泳いで脱出しました。とっさに車内から持ち出した荷物がなぜかマスクとアルコール。パニックになって財布とスマホのことをすっかり忘れてたらしい

 

「俺はバカだ…」と落ち込んでいたので「まあ気にすんな」と適当に慰めたら余計不機嫌になってましたよ

 

本当にどこも滅茶苦茶ですたい

 

私の店の近くには球磨川と同じ一級河川があります。都市のど真ん中にあり戦後すぐに大洪水が起きて甚大な被害を出したこともあり、長い期間をかけて大規模な改修工事が行われていたのですが、それでも今回の雨では結構やばい状態になってました

 

それほど酷い大雨だったのです

 

コロナ禍も止まぬ状態で追い打ちをかけるこの仕打ち、観光事業はメチャメチャになっています

ニュースで人吉のバス会社経営者が嘆く映像を見ました。せっかく購入したコロナ対策を施した新しいバスが洪水にのまれて使い物にならなくなったらしい。バスは泥にまみれて中までぐちゃぐちゃ

 

コロナで売り上げ激減の中、再起をかけて投入した高価なバスが破壊される。同じ経営者として気の毒過ぎてかける言葉も見つからんです

 

こりゃあ国の補助も出ることだし国内旅行の一発目は人吉に決まりだなあ、と友人と話してた所です。もともと旅行計画の候補に挙がってたし。テニスコートが沢山あるんですよね

 

自分たちの場合は観光でなく酒飲んでコンパニオンなお姉さんたちと騒ぐのです

私にはボランティアするほどの気概はないけどお金を使って遊ぶくらいはできます。復興が落ち着いたら必ず訪れどんちゃん騒ぎをしようと誓う

身近だった水害

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子供の頃から水害は身近でした。昔は都市の排水機能が十分でなかったせいかちょっとした長雨に見舞われるとすぐに道路が冠水してました

これって自分にとっては普通だったんですけど他の人もそうなのかな。もしかしたら私の住んでた場所があんまし良くなかったのかも

 

クリームの少ないカフェオレ色の汚水が日常を簡単に塗りつぶしてしまう

 

車が立ち往生した道。大人たちがズボンの裾を上げて水没した町内を歩き回る姿は、どこか非現実的であり、子供心にワクワクした記憶があります

排水溝やどぶ川の水もごちゃ混ぜになってて凄く不衛生なのに不思議と忌避感はわきません。興奮して近所の友達と歩き回ってました

 

大人になってから一度だけ冠水した町で川に流されてしまったことがあります

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川を流れる

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タイ南部、バンコクから内海沿いに列車で南下した田舎町。気まぐれに降りた土地なので町の名前は憶えてない。でも地球の歩き方には載ってないけどロンリープラネットにはかろうじて載る程度の知名度はあったと思う

 

駅に到着した時からすでに激しい雨が降りしきってました

 

宿を確保するとお腹が減ったので食堂を探しに出かける

 

道路はどこも冠水して膝まで浸かってました。豪雨で傘は役に立たないので諦める

そんな状態でも出歩くことに躊躇がなかったのは町の住民たちが普通に出歩き日常生活を送っていたからです

 

半分水没した屋台が普通に営業してましたからね。路肩に並ぶプラスチックのテーブルにはパラソルが差してあったけどそんなものじゃ雨はしのげません

 

テーブルではおっさんやおばさんが焼き飯とか焼きソバを食べてるけど足元は水浸しですよ。彼らはテレビ中継されたプレミアリーグを見てました。そういえば当時のタイではマンUとかリバプールが人気だった気がする

 

屋台の店主の女性は焼き台が濡れて火のつきが悪いのでカンカンに怒ってました

濡れネズミのおっさん二人がビールを飲んで酔っ払ってる

 

私はこれがこの土地の日常なのだと思ってました

 

とはいえ流石に濡れながら飯を食うのは嫌なので、私は適当な食堂を見つけて食事をすませました

 

店を出るとさらに増水してました

一面が濁った水でどこまでが道でどこまでがそうでないのかさっぱりわからない。そういえば食堂の中も水浸しだったような

 

それまでバイクやトラックで移動してた住人たちは相変わらずそれらの乗り物で水を押しのけ移動してます。マフラーが水に浸かってるけどどういう機構をしていれば故障しないのか、ちょっとしたファンタジーを見てる気分ですよ。みんな妙に浮かれて笑顔だし

 

私はお尻まで水に浸かりながら宿を目指しました。

道中は野菜屑や果物の皮とかプラスチックのフォークとか茶碗とかいろんなものが浮いてて大変汚い

 

ときどき足に何かがゴツゴツ当たるので引っ張り上げてみるとビデオデッキやラジカセ。タイタニックを違法コピーしたDVDもある

よく見るとドブネズミも流れてる、というか泳いでる。ああ、犬もだ

 

不意に大声で叫ぶ声が聞こえてそちらを向くと山羊?っぽい獣が多数流されてました。持ち主と思われる男性がボートに乗って追いかけてる。他にも数隻のボート

 

……ボート?

 

その違和感に気づいたのが後だったのか先だったのか、私は急に地面を失いガボボと水中に呑み込まれてしまったのでした

 

そう、道を歩いてるつもりで川に落ちてしまったのです

 

最初に頭をよぎったのは溺れる恐怖よりも「うえ~ばっちい水を思いっきり飲んじゃった…」

 

それから慌ててもがくけど思うように浮かび上がることができない。パニックになってたせいでもあるけど

泳ぎは得意です。衣類を着たままとはいえ泥水の中を浮かぶのがこれほど難しいとは。身体が浮かないんですよ

 

不意に誰かが私の手首を引っ張り上げてくれました

ゴムボートに乗った若い男でした

 

「助かった…」と半べそかいてボートに乗り込もうとしたらなぜか蹴り落とされました

肩を蹴られた

 

男は真顔で何ごとか言うと、汚れた白い塊を私に向かって投げてきました


それは楕円形で見た目よりずっと軽そうな材質

漁船で見かけるような発泡スチロールの塊です

 

それから彼は叫びながら山羊を追いかけて行きました

どうやら山羊仲間らしい

 

「……」

 

私は唖然としてゴムボートを見送る。発砲スチロールに抱き着いたまま

 

しばらく浮いてると底に足がつくようになり川岸へ到着。周囲には生ごみとか雑誌とかスイカ丸ごととかいろんなものが流れ着いてる

 

犬やネズミ?にしては大きな生物も辿りついたようで身体をぶるぶるしてる

 

ああ、犬もネズミも人間もみんな生きてるんだなあ、とよくわからない感動とシンパシーを勝手に感じてしまう

私の生命よりも山羊を優先させた男たちの正直な態度が自身を取るに足らない存在だと認識させてくれたのです

 

なんていうか、川でウンコとか生ゴミとか野生動物と一緒になって浮いてると自分が何か得体のしれない巨大生物の体内で消化物の一部になってしまったように錯覚してしまったのですよ

 

そう、我々は宇宙船地球号の仲間

 

人間様だから山羊よりも偉いなどと驕れてはいけないのだなあ

 

おわり

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