ダメラボ

ダメなおっさんが色々と妄想していますよ

資格ハンターが行く自分探しの旅inラオス旅行記:前編

スポンサーリンク

f:id:imbroke:20190624014536j:plain

大学生くらいの年になると

 

俺って何者なんだろう

 

って、ふと考えたりしちゃう時期があると思うんですよ。ちょっとした流行病みたいな感じで、おっさんになってから思い出すと恥ずかしくなっちゃうやつです

 

まだ学生だから社会に出る必要はなくて、でもあと2、3年もすれば世間の荒波に飛び込まなければならない

 

自分にはどれほどの価値があるのか? 自分には何ができるのか? 自分と他人の違いは?

 

そんな感じで自分探しに没頭してしまう

 

その答えを自己啓発の本に求める人もいるでしょう

 

その手の本にはまらないタイプ、つまり私のことですがそういう人間は

 

資格に興味を持ち始めます

 

簿記とか税理士とか宅建とか

 

とにかく何らかの組織によるお墨付きが欲しくなる。自分を箔づける何かを

 

とはいえ頭悪いし勉強は嫌いなのでしたくない

 

それでも資格はなんか欲しいぜよ

 

そんな舐めたことを考えてたら、いつの間にか大学を卒業してしまい

 

私は社会の荒波から逃れるようにタイにいました

 世界に一人だけの自分を探して

f:id:imbroke:20190624014948j:plain

バンコクのカオサンに到着した私はびっくりですよ

行き交う欧米人の多いこと多いこと。みんなでっかいバックパックを背負ってました

貧乏旅行をしてる連中はみんな意識高い系で自分探しをしてるわけです

海外に、魅惑のアジアに来たことで、他人とは違う何者かになれるはず

ヨガとか仏教とか、神秘的な何かを感じようと傾倒する

 

日本人だけじゃありません。アメリカ人もフランス人も中国も韓国も

 

みんなそう、ロンリープラネット(海外版地球の歩き方みたいな本)を握りしめて、ここに来れば何かが変わると期待してる。その顔は緊張と高揚でやたらハイテンション

 

まるで自分と同じ

 

私が滞在したのはバックパッカーの聖地カオサンロードからさらに外れた場所にある宿街でした

 

どうしてそこを選んだかというと

頭がおかしいくらいに破格の安さだったからです

 

当時カオサンロードにおける最安値が70バーツ(210円)くらいだったと思います

 

しかし私がいた宿は40バーツでした。しかも個室です

 

無論まともな宿じゃありません

 

自分探しを諦めて、母国に戻る気力をなくしたダメ人間が長逗留する宿

 

いわゆるバンコクに溺れてしまった人たちの巣窟

 

人種はイスラエル人が多かったですね。この手の安宿はそれぞれコミュニティがあるので

 

特にイスラエル人、日本人、韓国人は他人種を拒絶する空気がありました

 

しかし自分は空気どころか看板の文字が読めなかったので、そこがイスラエル人が集まってる宿だとわからない

 

堂々と訪れたものだから宿の親父も拒否するタイミングを失ったのか、普通に泊まらせてくれました

 

ベッドは床にマットを敷いただけ。南京虫に汚染されているので、夜中に痒くて目が覚めてしまう。ステロイド入りの痒み止めが手放せませんでした

無論クーラーなんてありません。乾季とはいえ夏と同じ気候なので蒸し熱い

部屋を出ると廊下はいけない薬物を炙ってるアンポンタンがそこら中で寝転んでいますよ。驚いたことに男だけじゃなく若いタイ人女性もいました

 

f:id:imbroke:20190624024522j:plain

皮肉なことに彼らがラジカセで流していたのはフランク・ザッパのファーストアルバム

 

言い忘れた。宿に泊まる金のない連中は半額で通路に泊まってましたね

金を持たない癖にドラッグはどこで手に入れてるのか。本当に奔放な連中です

警察の見回りはありますが、宿主が賄賂を払ってるので誰も捕まらない仕組みになってました

 

夜は廊下で性行為をおっぱじめるような連中です。うるさくてしょうがない

 ラオスへ行こう

そんなわけで健全な私としてはこんな所に長くいるわけにはいきませんでした

 

先住の旅行者から色々と情報を仕入れようと思ったのに、ここにいるのは自分探しを諦めて薬物に逃げた軟弱者ばかり、実に不甲斐ない連中です

 

フランク・ザッパじゃなくてジョン・レノンでも聞いてろってんだ

 

私はさっさと自分探しの旅に出発することにしました。所持金はトラベラーズチェックと現金を合わせて百万円分、これが尽きるまでに自分を見つけてみせる!

 

鼻息荒い私はじっとこっちを見ていたイスラエル人に気づきます。目が合うと色白でガリガリの男はゆっくりと立ち上がって

 

「ねえ、君日本人でしょ?」

 

笑顔で近づいてきます。日本語です。しかも結構上手い。私が驚いていると

 

「昔日本にいたことがあるんだ。ガールフレンドが日本人でね。ところでアンタはフリー?」

 

「フリー?」

 

一気に警戒心マックスですよ。恐らく薬中。しかもフリーって

 

もしかして、ネコとかタチの世界の人?

 

「ああ、えっと何か勘違いしてない? フリーっていうのは、つまり1人旅? 日本語これで合ってる?」

 

フリッツと名乗った男は私よりも年上。25歳と言ってました

礼儀として自分も名乗ります

 

「ねえ、ヤマグチ。君は1人で何しにバンコク来たの? もしかしてセルフディスカバリー?」

 

おいやめろ、そんな真っ直ぐな瞳で聞くんじゃないよ

 

他人から『自分探ししてるんですか?』って聞かれることほど恥ずかしいことはありません

こういう事を照れもなく口にできるのは流石欧米人

 

フリッツは私が自分探しをしていることをしぶしぶ認めると、嬉しそうに一枚の写真を見せてきました

 

「この写真見てよ、凄いだろ!」

「げっっ!?」

 

写真に写っていたのは大きな虎の背中に乗ってるフリッツの姿でした

 

言うまでもなくネコ科最強動物です。あまりに自然な虎の姿に合成写真のような違和感を感じてしまう

 

「これ本物?」

「もちろんさ」

 

短パンに上半身裸で虎に跨っているフリッツ。目は虚ろで手巻きした煙草? たぶんダメな葉っぱです

 

「実は僕、タイガーライダーのライセンスを持ってるんだ!」

「タイガーライダー?……ライセンス?」

 

なによそのスライムナイトみたいなかっちょ良い響き

 

フリッツの説明によると

 

ラオスの北西にある村? そこでは有料で虎に乗れる催し物をやってるらしい。しかも参加者には漏れなくタイガーライダーとしてライセンスを発行してくれる

 

なんだよその素敵イベントは、お金を払って象に乗るツアーは聞いたことあるけど虎なんて初めて聞いたぞ。しかもライセンスってことは一応資格?

 

っていうか東南アジアに虎なんているのかよ。いやいたな、そういや。そんなことより

 

履歴書の資格欄に普通自動車免許とタイガーライダーって書けるの?

 

それおいしくね。絶対ネタになるよね。たとえ観光客向けの記念資格であっても

 

タイガーライダーの資格をゲットすれば、世界に一人だけの自分になれる気がしました

 

テンションの上がった私の様子にフリッツはニコニコと笑ってます

 

「どうだい気に入っただろ。僕日本人が好きなんだ。渋谷良い所だよね」

「渋谷? ハチ公がいる所か? そういえばガキの時に行ったな」 

 

話が噛み合ってないのはフリッツがラリってるから

 

「珍しいことをしたいなら虎に乗ってきなよ、いい記念になるよ。タイの北部にも虎と触れ合う施設があるらしいけど、ラオスの方が迫力があるからきっと気に入る」

フリッツはわざわざ地図と道順、さらに連絡用のメールアドレスまで書いてくれる親切な男でした 

 

地図は下手くそでさっぱりわからんけど、要はラオスの北西に行ってメコン川の近くってことだな

 

当時の私は本当にこんな感覚でインドシナ半島を歩き回ってました。これって今考えると相当バカですよ。『東京を右上に進めば青森県に行けるな』って言ってるのと同じレベルですからね

 

ちなみに20年ほど前の話です。スマホはもちろん携帯電話も持ってません

 

「タイガーライダー以外にも色々と催し物をやってるんだ、ぜひ参加してくれよな。彼らも喜ぶ」

 フリッツの言葉に首を傾げる私

 

彼ら?

 

辺境の少数民族が経済的に自立できるように手助けしてるボランティア団体が関わっているらしい。つまりこのイベントはボランティア団体が企画した観光事業の一環というわけです

後からわかったことですが、フリッツの話に限らず、当時のカオサンにある旅行代理店は変わったツアーを欧米人向けに多く企画してました

 

簡単に言うと『自分探しビジネス』です。

 

『日常とは一味違う体験を』ということで、例えば辺境の民族が住む村で数日過ごすとか、北の山奥の寺で瞑想して3日過ごす、鉱山で現地住民と一緒に宝石を採るとかです 。

 

つまりフリッツの紹介したボランティア団体も流行りに乗ってイベントを企画したということでしょう

 

いずれにしても面白そうです。私はさっそくラオスへ向かうことにしました

 

続く

 

www.imbroke-s.com

 

ブログランキング・にほんブログ村へ