なんだか株価がメチャ下がってるようですね。コロナと原油安のせいで
私は投資の類には一切手を出していません。だからダメージを実感することは難しい……と言いたい所ですが昔リーマンショックで大損こいたので痛みはそれなりに共感できます
大金が吹っ飛ぶと、まあまあ凹むよね
貯金の半分が吹っ飛びました
グロッキーになった私は普段詩集とか読まんのに藤原新也の『メメント』読んでガンジス川へ行きたくなったもの。あの頃はゴダイゴのガンダーラばっかり聴いてたような気がする
リーマンショックの記憶はぼんやりしてるけど、『Yes,we can』はよく覚えてますよ。2008年の11月にオバマさんが大統領選に勝利したからです
それまで1ドル80円前後を低迷していたのに一気に90円台まで急伸しました
今日はリーマンショックの思い出をつらつらと語ってみようと思います
2008年は調子こいてた
FXをやってた
前年の2007年末からFX(外国為替証拠金取引)をしてました。リーマンショックまでは儲けてました。どんな風に儲けてたかは後で書きます
外車を買った
ラテンでおフランスなメーカーの凄く珍しい色でなおかつマニュアル車が欲しくて横浜にある光岡自動車まで足を伸ばして購入したのでした。光岡自動車はオロチ(大蛇)▼というイカした車を作っていた会社です。ここは外車も取り扱ってました
引用:光岡自動車
当時はオイルとかフィルター、タイヤにもこだわってましたね。高速道路でアホな速度を出して遊んでました。バカですね。でも楽しかったです。今は店名の入ったボロい軽バンをブーブー走らせてます
FXでボロ儲け
FXというのは簡単にいうと外国の通貨を売り買いして差益を狙う投資行為です。厳密には通貨の売買ではないのだけどややこしくなるのでそう説明させてください。今回はスワップ等の説明は省きます
当時は国内のFX会社であればレバレッジを最大100倍までかけることができました。海外であれば500倍というイカれた会社も存在してた
最近のFX事情は知らんけど、たぶん規制が入ってるはずです
レバレッジには梃子という意味があります。他人資本を使うことで自己の利益率を高める取引。どういうものか簡単に説明すると
為替レートが1ドル100円として1万ドル(100万円分)の証拠金を積めば最大で100倍、つまり100万ドル(1億円)の取引ができるということです。そうなるとたった数銭でも通貨が動くと数万円の利益が発生します。当然損も同じだけ被るけど…
つまり為替相場にハイリスクで界王拳100倍のアタックをかけられるということですたい
はい完全に博打です、カイジの世界ですね
レバレッジを効かせ過ぎた投資は小さな値動きで証拠金が吹き飛ぶので普通は100倍なんて博打はうちません
私は精々10倍程度までしか手を出しませんでした。それでも元金が400万円だったので数千万円の取引をしていたことになります
私が主に取引していたのはイギリスのポンド、南アフリカのランド、アイスランドのクローナ
香ばしい通貨の数々。これらの通貨は値動きが激しいことで有名でした
たしか7月にイギリスポンドは1ポンド250円くらいだったのにリーマンショックの起きた9月以降の2か月で120円まで下がったと思う。何と半値以下、まさに悪夢ですよ
ちなみにアイスランドはリーマンショックの後に通貨取引を停止しています
アイスランドは人口数十万人の小国です。流動性の低いクローネという通貨はあの金融危機で滅茶苦茶になったのです。FXにはまった日本人のせいじゃないかとも言われています
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私の投資方法
当時の私はどんな投資方法をとっていたのかというと
儲けが出るまでポジり続ける
です。別名漢(おとこ)気取引。買いで入ったなら値上がりするまで踏ん張る。売りなら値下がりするまで屁をこいて待つ
単純にして最強の投資手法です。勝つまで我慢するから不敗ともいえます
もちろん賢明な読者様ならわかると思いますが最低の方法でもあります
そう、投資としては最悪の悪手、絶対にやってはいけない方法です
しかし私は
相場なんてものはどんなトレンドであれ上下にブレまくるので踏ん張れば必ず利益が出ると思ってました。明けない夜はない
ローソク足? はん、知らんがな
実際それで儲けてたし。厳密には勝つまで踏ん張ってたから負けなかっただけなんですけど
知った風に語ってますけどろくにFXのことを知らずに400万円をぶっ込んでました。レバレッジを効かせて。若さって怖いね
商学部出身だけどリーマンブラザーズを初めて聞いた時はブルースブラザーズみたいなコメディアン?だと思ってました。ゴールドマンサックスは大学に求人票が貼ってあったので名前は知ってたのですがジュエリーとか貴金属を扱う会社だと思ってた
バンクオブアメリカは流石に銀行だとわかりましたよ、GMもわかります
リーマンショック時のFRB(連邦準備制度理事会)議長バーナンキさんやその前のグリーンスパンさんの名前はよく覚えてます
アメリカの経済動向はFXをしていれば嫌でも知ることになるので自然と頭に入って来るのです
つまり私は無知でバカだったがゆえに相場の波に動じることなくマシンのように売買を成立させていたことが成功し、利益を得ていたのです。成功は自信を生み、自分の手法に疑問を持つこともなく
私は儲け続けたことで金に目を眩ませて自分がグレイトな男だと勘違いします。さっぱり理解できないのに『酒田五法は風林火山』を読んで「ふむ、なるほど」とか唸ってたし…
この本は探したけど見つかりませんでした。まだ持ってたはずなんだけどな。調べたら中古でも高いです。なんでだろ
他にもプレジデントなんかも読んじゃったりして気分はハイソサエティ、ジョージソロスですよ
証券アナリストの資格を取ろうと勉強を始めて福岡の九電ビルに試験を受けにも行きました。もちろん落ちましたけど
迷走したあげく、なぜか探偵調査士という胡散臭い資格を取っていました。試験なんてろくにないので誰でも取れる資格です。たしか通信教育で五万円くらいだったと思う
ちなみにこの資格、卒業試験が論文形式としてあるんですけど内容がですね
その辺の誰かを尾行して個人情報を調査せよ
というものでした。今やったら逮捕案件ですよ。昔もかな
話を戻します
リーマンショックの前までは1~3日で数万円ずつ儲けてウハウハ。労力は携帯電話やPC画面を見ながらキーボードをポチポチして売り買いするだけ。こんなボロい話はありません
元金は半年足らずで倍。800万円を超えてました。楽して儲けてましたが不思議と仕事を辞めようとは考えなかったですね
そんな感じでいい気になっていた私ですがリーマンショックで痛い目に遭います
今までの人生で最も繰り返し観た映画
7月~9月。いつものように軽い脳みそで売買を繰り返してました
当時の私は仕事が終わると友人の事務所に立ち寄り、FXをしながら駄弁るのがルーチンになってました。友人もFXをしていたのです
我々は映画を観るのが趣味だったのでいつもツタヤでDVDを借りてそれを観ながらFXをしていました
その時借りていたのは『ライラの冒険 黄金の羅針盤』というファンタジー映画。小娘が主人公でニコールキッドマンが出演していたのを覚えています
しかしそれ以外の内容はさっぱり覚えていません。そういえば熊が沢山登場したかも
我々は映画のストーリーがさっぱり頭に入りませんでした
視線はPC画面にクギづけ。指は震えてキーボードを押そうとしては止めるを繰り返す
この数日、恐ろしい勢いで円高が進んでいたのです。通貨以外の相場も軒並み急落。原油安、金相場の下落。日経平均もアホみたいに下がり続ける
FXのチャート画面は秒刻みで投資家を振り落とすようにローソク足が長く伸びています。まるでシステムがバグったみたいです。売りも買いも関係ありません。誰も彼もを巻き込んで強制ロスカットの嵐
いつものように利益が出るまで踏ん張るなんてできない。慌てて損切りして、損失を取り戻そうと躍起になって売買を繰り返す
一度大きく失敗すると冷静でいられません
いつもなら我慢してる状況でも『これ以上下がったらどうしよう…」という不安が頭をかすめて安易な損切りを繰り返す。損失が広がるごとに頭に血が上って訳もわからないまま相場に参加する。および腰の癖にそれまでかけたこともないような高レバレッジで勝負をかける。損失を早くとり戻したくて
それで余計に傷口を広げる
気づくと流していた映画が終わってました
まったく見ていなかったことに気づいた我々は再び最初から再生します。貧乏性なので金を払ったのに映画を観ないという選択肢はないのです
でも映画が始まると相場が気になりそれどころじゃない
結局我々は『ライラの冒険』を数日間流し続け、何べんも繰り返し観たのに全く内容が理解できませんでした。これほど観たのはこの作品だけです
リーマンブラザーズの破綻は9月です。しかし8月にはすでに相場が荒れまくっていた気がします
投資には損切りが大事っていうけどさ・・・
無理じゃね
売買が成功続きならともかく素人が適当に考えた損切りラインなんて失敗が続けばあてにしないでしょうよ。相場観のない自分ルールほど役に立たないものはないと思う
そんなわけで私の800万円は半月ほどで泡のごとく消えてしまう。残ったのは70万円足らず。元は400万円から始めたので実質損失は300万円強ということになります。でも700万円以上を失った事実は変わりません
相場に囚われた私は失敗を取り返そうと貯金を全てとり崩そうと考えます。完全に頭に血がのぼってました
「今度は外国の会社と契約して500倍のレバレッジを効かせてやるんじゃ!元金をもう一回400万にして500倍なら20億まで動かせるじゃん、 そうすりゃ簡単に取り返せるぜ」
そう意気込んで銀行へ向かったのでした
オバマが大統領になればこの狂乱相場も落ち着くはず。そうすれば通貨は値を戻す。勝算は十分にある!
鼻息荒く寄り道したコンビニでソフトクリームを食べてタバコを吸っていました。やさぐれていたのでコンビニの前でヤンキー座りですよ。出入りする客に「やーね」とチラ見されるたび「おん、なんか文句あっかよ」と脅す
嘘ですよ
ソフトクリームぺろぺろ、タバコをすぱすぱ。それを交互に繰り返す
すると急に頭が醒めてきました
理由はわかりません。糖分を摂取したからでしょうか
ああ、これが破滅思考か…
気づいてしまう。ドラマとか漫画でよく見るキャラだ。博打で金をすって目を血走らせて借金を繰り返して最後はどん底に落ちるキャラ
漫画でああいうキャラを見ると「なんて馬鹿なんだろう。どうして失敗するとわかってるのにあんな行動に走るんだろう……」と思ってました
自分が当事者になると気づかないものです
大金を取り返そうと更にハイリスクで大金を動かす。今までそれで失敗していたのに次が成功する保証なんてどこにもないわけです。むしろ切羽詰まった分だけ失敗する可能性が高い。短期投資はメンタルが成否にかかわると今回の失敗で学んだのですから
自分がやっていたのは投資でなく丁半博打です。これまでの成功は運が良かっただけ
でももう一回だけ挑戦しても……いや、止めとこう
私はしくしく泣きながらFX相場からの撤退を決めたのでした
まとめ
自分が失敗したから投資を悪だと決めつけるつもりは毛頭ありません
これだけ大暴落していると株でも買ってみようかなという気になります
余剰資金で行う投資は人生に張りを生む側面があると思う。経済や政治に興味を持つようになるから視野が広がることでしょう
色んなブロガーさんの記事を読んでいると投資信託や株を買ってる人が多いと感じます
自分で行う分にはその人の勝手なのでいいと思う
だけど投資を絶対に安全だと錯覚している人は要注意です。「銀行に預けるよりマシでしょ」っていう発想です。そして他人に勧める
「なぜ投資しないの?これからは会社に頼らず副業もしなきゃ。投資信託はリスクが低いのに」
なんて言ってる
アフィサイト以外にもそういう人は結構います。たぶん損をしてないことが成功体験となって人にも勧めたくなるのだと思う。本人に悪気はない
私はFXで儲けてる時は脱税する気満々だったので黙ってたけどその気持ちはわかります
どんな少額であれ投資は儲け話です。そしてリスクがあります。当たり前のことだけど失敗するまで意外と気づかないもんです
お金が絡むと人は冷静でいられない。そんな自分に気づかない。他人に勧めてる人は一度冷静になってみるといいかもしれません。「相手のためを思って勧めてる」とか考えていたら囚われてる可能性が高いですよ
儲けるなら黙って儲けてる方がお互いに幸せです
おわり