ダメラボ

ダメなおっさんが色々と妄想していますよ

【旅のラゴス】架空の世界を旅する傑作SF:私のおすすめ小説

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大好きな小説です。著者は筒井康隆

でもこの小説は筒井作品っぽくないですね。シュールやナンセンスな表現はないし、ブラックな笑いやパロディもありません。オラついてもなければ、かといって『時をかける少女』のようなジュブナイルとも違う

 

【旅のラゴス】は架空の世界を舞台にした青年ラゴスの40年に及ぶ旅の記録です

 

SF小説とも言えるしファンタジー小説とも言える

 

文庫本にして260ページ程度のボリュームしかなく、3時間もあれば読み終えることができます

それにもかかわらず読み終わった後に途轍もなく長い間、物語に没頭してしまったかのように錯覚してしまう

本を閉じた後に感じる余韻はまるで自分まで長い旅をしてきたかと思うほど

 

なにを大げさな

 

って思うかもしれません。でも読めばわかります、マジっす

 

本当に不思議な小説なんですよ

うーん、なんて言えばいいのか

 

……

 

なんとも言葉が思いつかんです

 

ラゴスの旅は順調ではありません。山あり谷ありの起伏に富んでいるのに筒井康隆の文体は淡々として静か。でも決して無味乾燥ってわけじゃない

 

聞いた事もない不思議な動物が登場するし、この世界で生きる人々の生活には超能力が溶け込んでる

しかしそんな時代背景や文化習慣の説明を簡素な表現にとどめているので、それがかえって読み手の想像力を刺激し、濃密な世界観として頭の中に広がります

 

囚われて長い年月を奴隷として過ごしたり、ある国で王様になったり、ラゴスの境遇は目まぐるしく変わります

時間は確実に過ぎ、ラゴスは青年から壮年へと年をとっていく

 

それでもラゴスは旅を続ける。名誉を得てよぼよぼになっても彼を突き動かすのは旅への衝動、知への飽くなき渇望、愛する女への執着

 

旅の目的地は決まっているのに、辿り着けばそこが中継地でしかないことに気づいてしまい、また旅を続ける

 

ラゴスは困難に襲われることもあります。出会いや別れ、死別もある。でも著者はその部分をことさら強調したりはしない。あくまで静かにラゴスの旅を見守ることに徹してます

 

「旅の目的はなんであってもよかったのかもしれない。たとえ死であってもだ。人生と同じようにね」

 

初めてこの小説を読んだ時

 

どえらい本を見つけてしまった

 

と、猛烈に感動しました

 

自分がリュックを背負って海外へ飛び出したのは間違いなくこの小説の影響です

簡単なあらすじ

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北の都市から南の大陸を目指して旅を続けるラゴス。彼の目的はこの世界へ最初にやって来たと伝えられる人類の先祖の痕跡を訪ねること

すでに高度な文明が絶えて数千年の月日が過ぎ、人類は電気も知らない世界へと逆戻りしていました

その代わりに獲得したのが超能力です。空間転移、読心術、予知夢、壁抜けといった能力が人々に目覚め生活に根づきはじめます

ラゴスはひたすら南を目指す。立ち寄った町で様々な出会いと別れを繰り返し、時には鉱山奴隷として7年を過ごすことになっても、淡々と南の大陸を目指すのでした

そして目的を果たしたかと思えば今度は来た道を引き返すように北を目指します。再び長い旅が始まるのです

ラゴスの生涯をかけた旅に終わりは来るのでしょうか

見どころ

 

とにかく読んでください

 

この小説は多くの本好きがお薦めする小説です。書評ブログには必ずといっていいほど取り上げられています。なので記事にしてもSEO的にまったく美味しくありません

それでもお薦め記事を書きたくなる小説なんですよ

昔、スタジオジブリがアニメ化するという噂が流れましたが、たしかに宮崎駿がアニメ化しそうな作品でもあります

 

超能力やSFチックな設定から独特な世界観を想像するかもしれませんが、いや確かに美しく不思議な世界観ですが

 

設定はオマケみたいなものだと思ってください

 

テーマはズバリです

 

タイトルが『ラゴスの旅』でなく『旅のラゴス』としたのも頷けます

 

本作はラゴスの旅エピソードを纏めた連作小説という形をとっています

 

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死や別離といった出来事が特別なイベントではない世界で、良い奴も悪い奴も平等に描かれる。原初の風景を闊歩するスカシウマやミドリウシ。不思議な生態を持つ鳥を受け入れて卵の道を作る住人たち、卵が食べられなくて哀しみに暮れる龍(大蛇)

 

ファンタジー世界でありながら、そこに生きる人々は実に泥臭く、時に悪辣であったりする

 

すごいや筒井康隆、やっぱりアンタは天才だ

 

どんな小説なの? と聞かれても

 

 

としか答えようのない小説

 

こんな人は読んでもつまらないと感じるかも

  • 自分の中に確固とした倫理観があって、フィクションを読んでてもそれを手放せない人
  • 本を読む時に答えがないと気が済まない人

簡単に言えば

 

郷に入っては郷に従え

 

ができない人には向きません

 

まさに旅と同じです

 

ラゴスは聡明ではありますが俗っぽくもあります。女ったらしで自分勝手だと思う人もいるでしょう。そこに腹を立てる人は物語を楽しめないと思う

書評を見るとそういう部分を叩いてる人がいましたね。作品の本質的な部分ではないのですが……

結末をちょっとだけばらすと、ラゴスの旅は続きます。ゴールは示唆されていますが描かれてはいません。恐らくですがゴールに到達したとしてもラゴスは再び旅を続けるでしょう

 

つまり結末はあってないようなものなのです

 

何をもって旅とするかは人それぞれ。だから明確な答えもない。読み終わって欲求不満を感じる人もいると思います

 

しかこの作品は常にメッセージを読者へ投げかけています

 

『旅とは?』

まとめ

 しつこいですが

 

とりあえず読んでみてください

 

以上!

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