商才というものがあるならば、世の中にはそれがある人はいったいどれくらいいるのだろうか
例えば起業するにあたり自分の立てたビジネスプランに沿って物事がスムーズに運ぶ人
多少の誤差はあれど想定していた以上の利益を上げることができる人
ビジネスはそんな単純なものじゃないとわかっているけど、ふとそんなことを考えてしまいました
若き日の野望
先日、お店の掃除をしてました。机の奥から出てきた古い資料や書類をじゃんじゃん処分していく
するとオープン当初のチラシが出てきたのですよ
若くてスタイルの良い女子三人がきゃっきゃしながら筋トレしている風景。彼女たちに爽やかに指導する若い俺
ああ、この頃の俺は髪が長くてなんか調子こいてたんだな…目がキラキラしてるyo
田舎臭い広告は作りたくなくて腕の良いカメラマンを雇い、集めたモデルたちは癖のない顔立ちの美人
女子の着てるウエアも凝りました。短パンやレギンスは当時国内では販売されてないブランドを使用
肌を適度に露出させ、下品過ぎない程度に女性らしいラインを強調。コーディネートは彼女たちの髪色や表情に合わせる
どういう撮影技法かわからないけど柔らかな陽光の中に浮かび上がる我々の姿は現実離れしていて雑誌『Tarzan』に使われても違和感のない出来栄えでした
そう、自分が作りたかったのはこんなジムだったのですよ
ライト層をメインにした大学サークルのような明るく爽やかなジム。値段は良心的で安い。収入の少ない若い女子でも気楽に通えるように
若い女子が集まればそれを目当てに男子も集まる、人が増えればお金も集まる。たまに仲良くなったお客さんと飲みに行ったりして…
陽のオーラに満ち溢れたスポーツジム
負荷の高いウエイトなんてさよならベイベー、そんなのが必要な奴はゴールドジムでも行ってけろ
当時、筋トレは認知されてたとはいえまだまだジムは敷居が高いという雰囲気がありました。この場合の敷居というのは値段や筋肉への信仰度とかでなく単純にジムの閉鎖的な雰囲気を指します
あれ自分は嫌いなんですよ。一部の古参が幅を利かせて勝手にルールとか作って他の客を威嚇するの。お店も常連が離れるのが怖くて見て見ぬふり
ライト層をターゲットにした大手ジムも例外じゃないです。ああいう所だと常連の老人客がデカい顔して似たことをしてますね
ところが実際に店をオープンすると理想と現実の違いにすぐ打ちのめされます
確かに安けりゃ人は集まるけど興味本位で飽きっぽい客ばかり。常連になるのは無骨な野郎ばかり。しかも自分のキャラとかこれまでに関わった仕事のせいでもあるけど黒い人々ばっか集まってくる
自然と普通の人が寄りつかなくなる
売り上げは凄く悪かったりそうでなかったりをジェットコースターのように繰り返してました
次第に悪い方にブレが大きくなってヤバイなと思い始める
こりゃいかんと慌てて色々なプランを作ったりまっとうな会社や学校に営業かけて頭ペコペコ営業まわり
部活が強い学校の監督とかコーチはクソみたいな人物が多いのでストレスマッハでした
ああいう強豪校の部費や予算の使途はかなり怪しいと知りました
結局、今現在の私のジムは超絶ウルトラ閉鎖的な雰囲気が漂ってます。認めたくないけど海老蔵の灰皿テキーラリオン君みたいなオーラが
売り上げは悪くもなく特段良くもなく
甘く見積もって男女比は9.5:0.5
やる気に満ち溢れたオープン当初の広告は詐欺みたいに見えてきたので店のホームページから削除しました
かわりに友人に描いてもらったのはパンクな宇宙人のイラスト。南米のスラム街の壁とかに描かれてそうなやつ
ああ、こういうセンスがいけないんだろうな。いま気づいたわ
常連が来なくなるとその理由は収監されたとか逃亡したとかロクな話を聞かないです。普通に殺人で逮捕されてますからね…
いつも陽気にニコニコしてたお客さんが太平記に登場する武士みたいな常軌を逸した方法で自殺しちゃったこともあります
死にざまに不審な点が多くて警察の事情聴取を受けたのがこれまたうちのお客さんというカオス
私は誰でもウェルカムだけど部外者たぶんそう思わない
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あいつがライバル
私が店を始めた頃、ほぼ同じ時期に同級生がイタリアンのお店をオープンしたのです
価格を高めに設定した高級路線のお店
古めかしいビルを全面改装してガラスを沢山使ったスタイリッシュなビルの一角。集まるお店はやたらと品数の少ない服屋や宝石屋とかお高い感じ店ばかり
彼のお店はオープン当初から評判でそれは今でも変わりません
私がたまに顔を出すと地元では有名なローカルタレントとかアナウンサーとかデカい会社の社長とかがプライベートで来店してるのをよく見かけます。常連らしい
嫉妬でメラメラ
以前は行くと一品おまけしてくれたのに今はまったくしてくれません、ケチです
いずれあそこでお客さんの出所祝いを盛大にしてやろうと思いました
商才は存在すると思う
もちろん彼なりに苦労はしてるだろうけど、してて欲しいけど、話してるとどうもそんな感じがしない
思うに商売が上手い人ってあんまガツガツしてないんですよね。彼がそんな感じ。人柄というか雰囲気に惹かれて勝手に人が集まるというか
でもお人好しというわけでもなくてわりとシビアに判断を下せたりもできる
自分なら人情が先だって判断に迷うシーンでズバッと決めてみせる
ああいう気質ってどこで育つんだろう
自分もわりと長く商売をやってるので商才が全くないとは思いません。だけどヒットメーカーになれるセンスはないな…
そう気づき始めました
この漫画が酷い
以前からこのブログに書いてますがちょっと前にエロ漫画をネットで販売しました。
初めて描いた漫画です。しかしそれを言い訳にするつもりはなくこの作品をヒットさせて大儲けしようと真剣に描きました
自分のエロ知見を総動員して世の中の需要とフェチを研究し描き上げた売れる作品
それは言い換えると万人受けを狙ったマイルドな作風ともいえます
結果は一月で300冊の売り上げでした
最低1000を狙ってたのでヒットから程遠い数字にがっかり
初心者にしては売れたほうかもしれんけど。自分はビジネスとして勝負したので初心者とか関係ない
んでこの作品ですがたいして売れてないのにレビューだけはやたら集めました。
レビューというのは作品の感想です
星の数で評価して感想を書くアマゾンなんかで定番のやつ
数千冊を売り上げるヒット作でもわざわざレビューを書いてくれるお客さんは少ないです。作品にもよるけど5以下とかざら
私の作品はすでに10人ほど書いてくれました
手間暇かけてありがたいことです
レビューが多い作品というのは選ぶ客側にとっても参考になるので助かります
厳しめの意見もあるけど概ね気に入ってるらしい
「絵が下手だけどありそうでない内容」
「絵が下手だけどこういうのを探してた!」
「タッチは荒いけど…!」
彼らの熱い長文と変態語りを読んで気づく
あれ、もしかして俺の漫画って凄くニッチなの?
自分ではヒットを狙って薄い内容で描き上げたつもりのエロが一部のコアな変態共を熱く刺激したらしい
何気なく描いたコマ埋め描写に高い評価があったりもする
つまり万人受けを狙えていない
想定とまったく違う反応に困惑ですたい
自分では織田哲郎や小室哲哉みたいなヒットを狙ったのに…
友人の同人作家にレビューを見せたらその数に驚くとともに感想内容にドン引きしてました
「やばくね、これ……」
そう、ちょっとやばいの
ちなみにレビューというのは皆の目に触れるということもあり運営会社によって若干の検閲が入ります。(とくにDLサイトは)それでも熱のこもった変態紳士の文章は親には絶対に見せられないものなのですが、本当に危険なのは作者である私に直接送りつけられた感想?です
その時知ったのですがそういう伝達方法もあるらしい。ツイッターでいうDMみたいなもんか。つまり他人の目に触れず作者にだけ届く
内容は私のエロに対するこだわりと細かな描写を賞賛することから始まり、だんだん熱というか狂気を帯びて
『この作品のA(ヒロイン)はこの後〇〇されてその結果◯◯になって◯◯される運命に違いないと思いますがそれを作家様がどのように料理されるのか楽しみです。それ以外の結果はありえないと思いますが、しいて言うなら…』
〇の部分はサイコ過ぎて書くのも憚られます。普通のエロワードじゃないのは確か
こんな内容が3通ほど来ました。なんか勝手に先の展開を期待というか予想というか誘導して作者である私に描けと強制してる。怖いです。どれもソフトに脅迫してるなという文面です
ちなみに私の作品は続き物ではありません。ちゃんと終わらせてます
たとえ続きを描くとしてもこんな酷い内容は描けません。ヒットメーカーたるもの常識を弁えてないといけませんから
断言するけど私の漫画は猟奇的な内容なんて一切描写してません。カルトじゃない
普通のNTRものです
NTRものは需要が常に安定して高いからそうしたのに…なんでこんなことになったんだろう
もしかしてミザリーみたいになるんかな俺
この時点で気づきました。自分にはエロ漫画のヒットメーカーたる素養がないのでは…
というかそもそも最大公約数のニーズを拾えていない時点で商才がない…?
ありゃ長くなったので今日はこの辺で