先日、近くのソープランドが摘発されました
騒がしい気配に外へ出ると、深夜にも関わらずぞろぞろとお店に入って行くスーツな男たちが見えました
傍にいたおじさんの話で私服のポリスメンだと知りました
私が見たのは一店舗だけでしたが、その日のローカルニュースによると3店舗に家宅捜査が入ったらしい
摘発されたソープランドは風俗街の一角にあるお店です。5、6年前からあったと思う。風俗店は名前が頻繁に変わるので実際はもっと古くからあったのかも
ボッタくるとか悪い噂は聞いたことありませんね。昔ながらの普通のソープランドです
報道によると罪状は売春防止法違反
経営者の女性と他2名がソープランドで女性従業員に売春させた疑いで逮捕されました
全国的に見ればよくある話です。そしてこの手のニュースを見聞きした人の大半はこう思うはず
なにを今更、警察って暇なの?
私もそう思ってましたよ
だってソープランドってそういうことをするお店でしょ。私が知ってる警官だって客として利用してますよ、もちろん彼は性行為を目的に通ってます
ソープランドがそういうサービスを提供してることは誰でも知ってることなのに、警察が知らないわけがない
だいたいですよ
その理屈だと日本全国のソープランドを摘発できるじゃん。っていうかしなきゃダメじゃんよ。一部の店だけ摘発とか明らかにキナ臭いでしょ、それ以外のお店から何か便宜を計ってもらってるんじゃないの?
当然警察は市民のそういう突っ込みは想定してるでしょうね
警察はどういう理屈で一部のソープランドだけを摘発してるんでしょうか?
気になったので調べてみました
ソープランドとは
まずソープランドの定義について調べてみました。ウィキ先生を使って法律上の位置づけを確認してみます
すると意外な事実が判明しました
引用は読み飛ばしてもいいですよ
ソープランドは風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風適法)に定める店舗型性風俗特殊営業である。風適法第2条第6項1号では「浴場業(公衆浴場法(昭和二十三年法律第百三十九号)第一条第一項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業」と定義されており……
風適法というのは風営法と同じだと思ってください
法律を読む限りソープランドにおいて性行為を認める記述はありませんでした
ソープランドはあくまで異性客に接触するサービスを提供するお店としか書かれていません
ちなみに日本には風営法とは別に売春防止法という法律があります
売春防止法はいかなる形であろうと売春を禁止しています。つまり金銭の受け渡しを対価とした性行為は違法です
そうなると法律上ソープランドとは風俗嬢が性的なサービスをしてもいいけど性交はダメな店ってことになります
えー、でもソープって本番を売りにしてるじゃん
法律上はダメなのにソープランドは堂々と存在してる。この曖昧な感じをもっと掘り下げてみることにしました
売春防止法とは
売春防止法は1956年に制定されました。ご存知の方も多いと思いますがそれまで日本には遊郭という政府公認の公娼制度が存在してました
赤線とか青線とか聞いたことのありませんか
ちなみに私の地元には旧赤線地域があります
この売春防止法が制定された背景には日本の国連加盟への動きが関係してます。国連、言い変えるとアメリカやイギリスなどのキリスト系諸国は売春行為に対して否定的でした
日本はそんな西欧諸国に認めてもらい国際社会の一員となるためには売春行為を取り締まることが急務だったのです
そんな訳で制定された売春防止法
(売春の禁止)
売春防止法 第三条
何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない
一応補足します。売春行為とは性交することを指します。なので手淫や口淫はそれにあたりません。また同性同士の行為もあたりません
この法律、ちょっと面白くてですね、まず当然ですが売春行為は違法と定義されてます。しかし、
罰則はありません
あれっと思ったでしょ。売春したら捕まって罰金とか懲役とか刑罰を食らうイメージがありませんでした? 私はそう思ってました。でも当事者を罰する規定がないんですね。調べてみたけど売り手、買い手、ともに罰則はなかったです
よくよく考えてみると『警察24時』みたいな特集番組で風俗店の摘発ってよくありますけど逮捕されてるのは店の経営者だけですよね。客や風俗嬢が逮捕されたシーンを見たことないです
もちろん未成年を買春した場合は条例等により罰せられますが
なぜこのようになってるのかというと、売春防止法において売春者は保護されるべき存在だと考えられていたからです
昔は売春者といえば生活に困窮して仕方なくする者が多かった。そういう者は罰するよりも保護して更生させるべき
それが当時の西欧の考え方だったので日本もそれにならったのでした
余談ですが私の知人であるソープ嬢はホストとビジュアル系バンドの追っかけに狂ってます。生活困窮者じゃありません。「いつかは普通の事務職に就きたい」とかのたまってますが、言うだけで無駄遣いを止めません
事務職を舐めるなよと説教したくなります
この法律の理念は時代に合ってないと思います
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それじゃ売春防止法は何のために制定されたのか?
この法律は下記の行為等を規制するものでした
- 『周旋』売春婦の派遣や仲介、あっせん
- 『場所の提供』売春すると知りながら場所を提供する
- 『管理売春』売春婦を管理して売春業を営む
売春者を搾取したり売春行為を助長する者を処罰する法律です
処罰内容には罰金から懲役までしっかりと刑事罰が盛り込まれてます
売春や買春した当事者とはえらい違いですね
つまり売春防止法がターゲットとしたのは
風俗店でした
法律が制定された当時は他にも様々な組織が対象となっていたかもしれませんが、今は風俗店しかありません
『周旋』『場所の提供』『管理売春』これらは思いっきりソープランドで行われてる行為ですね
私が見たローカルニュースでも店の経営者は風俗嬢に売春をさせた疑いで逮捕されていました
それじゃ全てのソープランドは警察が壊滅できるじゃんね
と言いたいところですが、先ほども説明したようにソープランドというのは法律上は売春を許されてません
つまりソープランドでは性交は行われていないはず
というのが警察の見解なわけです
パチンコと同じです。警察はパチンコを賭博とは認めてませんからね。彼らの中ではあくまで特別景品をゲットするゲームという位置づけです
そんな訳ねーよ。というツッコミは通用しません。警察が白だといえば白なのです
余談ですが私の住む県には200近くのパチンコ店があるのですが、景品交換所を運営する会社はなぜか一社が独占できています
警察がソープランドを曖昧な存在にしておきたいということはそうするメリットがあるということでしょう。
アダルト動画の審査機関に警察庁の人間を採用してるのと同じ匂いがします
もちろん警察は売春を確認できた場合は動きます
性交の事実、金銭授受の事実、金銭授受が性交の対価である事実。これらの証拠を確認した上でお店が風俗嬢を管理していた証拠も必要です。この場合の管理とは風俗嬢の出勤日であったり出勤時間
あるいは店側が風俗嬢の売春を知りながら場所を提供した証拠でもいいでしょう
それらの確固たる証拠を手に入れた時、警察は摘発に乗り出します
その結果、私が見た摘発現場に至るわけです
警察の理屈としては証拠が挙がった店は摘発する、そうでない店は摘発しない
それだけだと言いたいのでしょう。彼らの中ではソープランドは違法を行っていないという建前なのだから
ちなみにソープランドが合法である理由として
『客と風俗嬢が自由恋愛によって性行為をしてるだけだから売春じゃない』という話を聞きますが、
昭和61年の最高裁で思いっきり否定されてましたね。どうやらあの理屈は通らないようです
買売春、なぜ違法なのか(前田恒彦) - 個人 - Yahoo!ニュース
でもね、今回の摘発はなんだか府におちなかったです
なぜあのお店だけ証拠が見つかったのか
深夜の摘発なのにテレビ局が待機しててすげーパフォーマンス臭い
しかも各ローカルテレビ局はあれだけ大々的に報道して、ホームページにも事件を掲載してたのに今日確認したら全て削除されてました。近い日付で起きた他の事件はまだサイトに掲載してるのに……
なんだか色々と書きましたが
私個人の意見としてはソープランドを警察等一部の組織が匙加減を握っているのは健全ではないと感じています。どうしても利権の匂いを感じてしまうので
それに売春を違法としながら目をつぶってるという状態は風俗に携わる人の権利が確立されないということになります。何かトラブルがあっても堂々と訴えることができない可能性だってある
それだったら国がはっきりと売春を法律で認めたほうが良いのかなとも思いました
……
真面目な感じになっちゃいましたけどこれで終わります
おしまい