最近の出来事をつらつらと書いてみる
先日美容室に行きました
いつもツーブロックにしてます
担当の美容師さんは世間話が好きな人で、顔真っ赤にして政権批判をしながらバリカンを振るってくれたので髪型がいつも以上に気合の入ったものになってしまいました
おかしいと思ったんだよ
いつもならサイドはハサミで丁寧に刈り込んでくれるのにいきなりバリカンでずばばといきましたから
カットが終わると唖然とする私と美容師さんは鏡を介して目が合いました
彼女はふいっと視線を下げて
ま、まあ三日もすれば伸びて馴染むと思うから……
思うってなんだよ
上部の髪で隠してるけど実際はかなり上まで刈られてます
鳥肌実みたいになっちゃった……
コロナ関連の申請手続きは老人には難しいらしい
先月から私のもとへ知り合いの店主がぼつぼつと訪ねてきます。持続化給付金や休業手当、家賃補助等の申請を手伝ってくれと
どうやら私が最近それらの給付金をゲットした話を聞きつけたようです。ようですというか私が彼らの店で飲んで酔っぱらって自慢しまくったからなんですけど
やって来たのはPC操作が苦手な人ばかり。いわゆるガラケー世代
国が行っている持続化給付金の手続きは原則ネット申請なのです。サポート窓口の会場は少しづつ増えてるようですがコロナの蔓延もありまだ少ない
持続化給付金はともかく休業手当や家賃補助は紙の書類による申請なのでPC関係ないじゃんと思ったけど、詳細情報が掲載されているのは自治体のホームページ
普段ネットを活用しない人にはそれを見ることすらもハードルが高いようでした
居酒屋の店主が契約している税理士に持続化給付金の申請をお願いしようとしたら
「代行料として1万円、それプラス手数料が受け取った給付金の5%いただきます」
と言われたらしい
たけえ。ってことは給付金が満額なら6万もとるの!?
自分みたいな素人がやっても5分程度で終わる手続きに? どうせ実際の作業はその税理士じゃなくて事務員にさせるんでしょ
うらやまけしからんですな
手続きを手伝うことに
正直面倒臭いなと思ったけど、手伝うことにしました。手伝いというか実際はほとんど自分がやることになるんじゃないかと思ってましたがその通りでした
彼らに教えながらやってると時間がかかるし間違いも多いからです
代金はとってません。小さな個人店ばかりだしコロナで儲かってないのを知ってるから。こうやって恩を売っておけば後々プラスになるんじゃないでしょうかね、知らんけど
とはいえ完全にタダだとお互いのためにならないのでビール1ケースとか洋菓子の詰め合わせとか適当に私の好きなものを『差し入れ』として所望しておきました
そんなわけでこの二週間ほどは中年から老人までまったく色気のない人々が次々とやって来たのです
久しぶりに大量の書類仕事をこなしました。勤め人の時以来ですよ
必要な書類はあらかじめ準備しておいてもらったのですが不備が多くて二度手間の多いこと多いこと。結局自分が税務署や役所、不動産屋に電話して確認することに
個人店主はサラリーマンと違って自分で納税する必要があります。そのためそういった知識がサラリーマンに比べて豊富だと捉えられることが多いのですが、実態はそうでもないです。むしろ税理士に丸投げしてたり、自分で行うにしても本や申告会のスタッフの説明によく分からずに従って納税してるので税務知識の乱れが酷い
帳簿を見せてもらうと子供のお小遣い帳よりも簡素な人もいます
数日前にやってきたスナックのババア老婆もそんな一人でした
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縁起を担ぐ女
老婆こと 青木西子(仮名)の持続化給付金の手続きを終えた私は家賃補助の申請手続きをしていました
家賃補助というのはコロナ禍で休業要請に応じたお店や中小企業を対象に、自治体がテナント代の一部を補助してくれる制度です
私は彼女の持参した賃貸借契約書に目を通してました
パラパラとページをめくり契約者の氏名を見て「ん?」となる
店の外でタバコを吸ってる青木さんを呼びました
「青木さんの名前はたしか青木西子でしたよね」
「そうだけど……」
「この賃貸借契約書に書かれた青木東子って誰?家族?」
そう、名前が全然違っていたのです。読み方が違うとかじゃなくて漢字が全く違う
「……? ああ~ それはね私の源氏名よ」
「へ……源氏名?」
「あら、アンタ源氏名を知らないの? 源氏名ってのはね――」
……何言ってんだこのババア
なんで賃貸借契約書に源氏名なんて使ってんだよ。ダメだろ。っていうかそれで契約書作れるんかい。不動産屋はなにやってんの?本人確認は?
調べてみたらこの賃貸借契約書を作ったのは私のよく知ってる不動産屋でした。この人は常在アル中な人です、本人確認を怠った可能性は十分に考えられます
源氏名ってようするに偽名じゃ……
もしかして私文書偽造? でも本人は長く店をやってるし家賃もちゃんと払ってる、本人の住所など他の情報は正しく記入してます。実際こんなふざけた契約書を堂々と私に見せるくらいだから騙す意図がないのは明らか……
よく考えたら私文書偽造は他人の身分を騙った場合に適用されるからこの場合は違うのか?
突っ込みどころか多くて思考が追いつきません
ぽかんとしてる私に青木さんはその理由をつらつらと説明してくれます
「青木西子ってゴロが悪いしなんか縁起悪いじゃない。字画もダメ。せっかく新しく店を始めるのに本名で契約するのは嫌だったのよ」
「そう……ですか」
一ミリも共感できない理由です。名刺ならともかく正式な契約書に偽名。しかし本人は馬鹿をやらかした自覚はないみたい、平然としてます
「水商売ってのはね、縁起を担ぐものなのよ…」
青木さんは気だるげに煙をふうを吐くとそう言いました。酸いも甘いもかみ分けた人生の先輩としての貫禄十分
まるで私に教え諭すような様子ですよ。「ケツの青いガキにはわからないだろうけどさ」とでも言いそう
本当に何やってくれてんだこの人。源氏名で契約した賃貸借契約書でどうやって役所を納得させるんだよ。一緒に提出する確定申告書と名前が合わないだろ。っていうかまず親に謝れ
せめて芸能人みたいに本名も併記してくれたら良かったのに…源氏名だけじゃ
契約というのは互いの同意で成立するので法律的には契約書の有無は関係ありません。当事者だけの問題ならぶっちゃけ芸名だろうが偽名だろうがなんでもよろしい、互いを認識できるなら
ただし契約書は問題が起きた時に第三者への証拠、証明手段となります
今回はまさに問題が起きた時です。家賃補助を受けるためには申請者が本当に店舗の賃貸借契約を結んでいる人物なのか証明する必要があります。そのための手段として役所は賃貸借契約書と確定申告書のコピーを求めているのです
少し調べれば青木西子と青木東子が同一人物だと証明することはそれほど難しくないでしょう
しかしただでさえコロナ関係で忙しい役所がそんなことに時間を割いてくれるとは思えません。非はこちらにあるのですから
と青木さんに言いました。つまりこの賃貸借契約書だと却下される可能性があるよ、と
すると青木さんは「そんな馬鹿な! 私はちゃんと家賃を払ってまっとうに商売してるのに!」
と凄い勢いで役所に電話をかけ始めました
「あのね、ちょっと聞きたいんだけどね、私は賃貸借契約書に源氏名を書いてるの、この場合はーー」
自分から偽名契約を暴露していくスタイル。老人は怖いもの知らずですね
「芸名? タレント? 違うわよ私はスナック経営者!だからーー」
電話相手の困惑が目に浮かびます。私だったらこんな面倒くさい人はお断りです
結局、この件は役所預かりとなりました。つまり結論は保留です
それから数日経ちましたがまだ結論は聞いてません
他の給付金申請は終わらせたので青木さんは満足してましたよ
とりあえず家賃補助に関しては賃貸借契約書以外の必要項目を埋めて後のことは彼女に任せることにしました。つまり逃げました。巻き込まれるのは嫌
もうすぐ第二次補正予算案が衆議院を通過します。この予算には売上げが減少した中小企業や自営業者を対象に家賃の助成案が盛り込まれているのです。最大半年間は家賃の3分の2を国が助成してくれるというもの
予定通りなら7月の頭には実施される見込みです
もし私の店も売り上げが悪くなれば世話になるつもりです
つまり私は行政と揉めたくありません。お金を貰えるなら尻尾振ります
不動産に詳しいコピさん(id:copinoheya)ならどう判断するのでしょうかね。賃貸借契約書に源氏名はあり?なし?